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 工作機械のオークマは、日立製作所のIoT(インターネット・オブ・シングズ)基盤「Lumada」を新鋭工場「Dream Site2(DS2)」へ導入し、2017年6月に本格稼働する。同社の既存工場と比べて時間あたりに処理できる部品加工の作業量を2倍に増やし、多品種少量生産の効率を高める。

 オークマによれば、DS2に投じた約90億円のうち、Lumadaを含む情報システムの構築費は約1割を占めるという。オークマはDS2で成功した生産方式を同社の他工場へ展開するだけでなく、他社へ販売することも視野に入れる。

オークマの新鋭工場「Dream Site2」の外観
オークマの新鋭工場「Dream Site2」の外観
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 オークマはNC(数値制御)工作機械の大手メーカーで、おもに複合加工機やマシニングセンタを生産している。

 同社工場の特徴は多品種少量の生産体制だ。約300機種にのぼる工作機械のラインナップに対し、同社の生産能力は平均すると月あたり約500台ほど。「機種によっては、半年に一度注文があるかないか」(オークマ 広報)という。さらに、一台の工作機械は数千点の部品からなるため、一つの工場で多品種の機械部品を少数製造する必要がある。オークマは、2013年5月に稼働した「Dream Site1(DS1)」で約1000品目の機械部品を生産している。DS2ではこれを4000品目以上に増やす計画だ。

生産設備が並ぶ「Dream Site2」
生産設備が並ぶ「Dream Site2」
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 オークマがLumadaの導入を決めたのは、こうした多品種少量生産の効率を高めるためだ。Lumadaのラインアップの一つである生産計画最適化ソリューション「Production Planning Optimization(PPO)」を導入する。PPOは日立製作所のクラウドサービス「出前クラウド」から利用する。

 DS2では、RFID(無線IDタグ)を利用した「認識タグ」で生産ライン上の部品を管理する。認識タグを読み取ることで工場内の部品の場所と状態をLumadaのPPOへ集約し、リアルタイムに把握できるようにする。

 PPOの導入と併せ、ロボットや無人搬送車の導入も徹底する。工場内の物流の自動化を進め、休日にも工場を稼働できるようにする。必要な作業員は監視を担当する最小限の人数で済む。これにより、DS2では週7日24時間の生産体制を実現した。

「Dream Site2」で稼働するロボット
「Dream Site2」で稼働するロボット
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 PPO を導入することで、DS2では1時間単位の生産計画を立てて生産指示を出せるようになった。1日単位で計画していた従来と比べ、工程の変更に柔軟に対応し、かつ生産リードタイムを短くできる。多品種少量生産では、取引先から保守部品の急な発注が入るなどして生産計画の変更が発生しやすいという。このため、今までは1日単位で生産計画を立てた後で、急な発注が入った場合は現場の担当者が工程の順序を手作業で調整していた。「PPOを使うことで工程の調整が容易になった」(オークマ 広報)。

 オークマは部品の流れに加え、生産設備の見える化も進める。生産設備の稼働状況を一つのモニター画面で集中監視できるようにする計画だ。

 DS2は大小合わせて約80台の生産設備を備える。工場全体の状況を可視化して表示することで、納期遅れの原因となっている設備や工程を特定できる。原因が分かれば、復旧計画を立てやすくなる。PPOは復旧計画をシミュレーションする機能も搭載しており、担当者はシミュレーションの結果を見てから工程を変更できる。

生産設備の稼働状態を一元的に監視する画面
生産設備の稼働状態を一元的に監視する画面
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作業の遅れ具合を色付けして表示する画面
作業の遅れ具合を色付けして表示する画面
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 オークマは、DS2で構築した多品種少量生産モデルを他の事業所へ移植する考えだ。2017年6月に本格稼働するDS2を起点に、全社的に生産体制を効率化させる。