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廃止検討も、国家間で根深い対立

写真6●NICT電磁波計測研究所時空標準研究室の岩間司・研究マネージャー
写真6●NICT電磁波計測研究所時空標準研究室の岩間司・研究マネージャー
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 うるう秒に起因するシステムトラブルを解消する究極の解決策は、うるう秒自体を廃止してしまうことだ。

 NICT電磁波計測研究所時空標準研究室の岩間司・研究マネージャー(写真6)は、「うるう秒の1秒のずれによる社会的影響が大きくなったことを踏まえ、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)ではうるう秒の廃止が検討されている。だが、国によって利害が対立しており、議論の先を見通せない」と説明する。

 日本はうるう秒廃止に賛成の立場だ。IT活用が進む欧米先進国にも賛成する国が多い。ところが、ロシアは自国の人工衛星の運用上の都合から強く反対している。「グリニッジ天文台」を抱え“天文時の発祥国”としての自負がある英国も、廃止に反対している。一方、中東やアフリカの国々の多くは、これまでうるう秒の検討に参加していない。「よく分からないのでもう少し待ってほしい」という理由で、反対している国が多いという。

 2012年にいったん廃止の方向での決議案が作られたが、意見が分かれたため決議に至らなかった。その後の議論でも、まだ意見がまとまっていない。2015年11月の会合で、廃止の可否に関する最終決定がなされる見込みだ。日本が主張するうるう秒廃止が決定するかどうかは、「予断を許さない」(NICTの岩間研究マネージャー)という。

 仮に11月の会合で廃止が決定されても、実際に廃止されるのは最速で2022年になる見込みだ。それまでの6年ほどの間にも、再びうるう秒が実施される可能性がある。“8時59分60秒”は、もうしばらくシステム運用者の頭を悩ませることになりそうだ。