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 金融サービスの本丸である銀行が、いよいよ「FinTech」に本腰を入れ出した。FinTechは、ITの力で今までにない金融サービスを生み出そうと試みるムーブメントの総称。そのけん引役を務めるベンチャーのマネーフォワードに、銀行が次々と白羽の矢を立てているのだ。

 住信SBIネット銀行を傘下に置くSBIホールディングスや地方銀行大手の静岡銀行が相次ぎ出資したほか、みずほ銀行もサービス連携を申し出た。クレジットカード会社などのノンバンクは先行してFinTech企業と手を組む。銀行も敵対相手ではなく共存共栄する道を選んだことから、FinTechが一時的なブームではなく日本に根付く可能性が出てきた。

ラブコール、続々

写真●左からSBIホールディングスの北尾吉孝社長、マネーフォワードの辻庸介社長、住信SBIネット銀行の円山法昭社長
写真●左からSBIホールディングスの北尾吉孝社長、マネーフォワードの辻庸介社長、住信SBIネット銀行の円山法昭社長
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 「私自身、マネーフォワードの資産管理アプリを数カ月前から使っている。非常に便利で手放せなくなった」。2015年8月25日、マネーフォワードとの共同会見に臨んだ住信SBIネット銀行の円山法昭社長は提携先をこう賞賛した(写真)。

 11月をめどに資産管理アプリのOEM提供を受け、自行の顧客向けに特化したサービスが使えるようにする。従来提供してきた資産管理サービス「Money Look」は、資産運用サービスに転換させる。

 そもそも邦銀が、FinTech企業を相手に出資を伴う提携に踏み切るのは歴史的に見ても異例。銀行がこぞってマネーフォワードに照準を合わせた理由は、見逃せないほど急成長し約220万人もの個人の顧客基盤を抱えたことにある。

 現在多くの銀行が、スマホ利用を前提としたサービスの改善に手を焼いている。個人顧客と接する機会が限られる銀行にとって、スマホは恒常的に顧客との接点を築く有力な武器だが、小売業のように上手に活用できているとは言い切れない。住信SBIネット銀の円山社長も、「当行のネットサービスはパソコン経由が7~8割。スマホ対応では遅れている」と認める。多くの銀行は営業店やPCに軸足を置いたチャネル戦略に、大胆な改革を起こす必要性を抱える。