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 NTT東は171件のうち136件を受け入れたが開発は遅延。エンジニアを増員したものの、2010年1月までにシステムを引き渡せなかった。旭川医大は同年4月、期日通りにシステムを納品できなかったとして、NTT東に契約解除を通告した。

 NTT東は同年8月、不当な受領拒絶でリース料を受け取れなくなったとして、約22億8000万円の損害賠償を求めて旭川医大を提訴。同医大は2011年3月、新システムの導入失敗に伴う逸失利益など約19億4000万円を求めて反訴した。

 一審、控訴審とも「プロジェクト開発契約に付随する義務」に違反する行為の有無が争点になった。開発ベンダーがプロジェクトを適切に管理する「プロジェクトマネジメント(PM)義務」や、ユーザー企業が仕様の策定などで開発ベンダーに協力する「協力義務」などだ。

 協力義務については一審、控訴審とも旭川医大の義務違反を認定した。仕様の凍結に合意した後も追加開発を繰り返し要望したほか、マスターデータ作成の協力姿勢が不十分だったことなどが、ユーザー企業としての協力義務違反に当たるとした。

表 旭川医大とNTT東日本によるシステム開発プロジェクトの経緯
期日までにシステムを引き渡せず
表 旭川医大とNTT東日本によるシステム開発プロジェクトの経緯
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「プロマネ義務違反はなかった」

 異なったのはPM義務に関してだ。札幌高裁は、旭川医大が出した追加開発の要望に対するNTT東の対応に違反はなかったと認めた。

 一審の旭川地裁判決は、追加開発の要望を受け入れて開発が遅延すると予測できる場合、「(仕様凍結の)合意を理由に拒絶する」(同判決)か、代替案を示すなどして「開発要望を取り下げさせるなどの対応を取るべき」(同)とした。そのうえで追加開発の要望を受け入れたNTT東の姿勢を「原告(本誌注:旭川医大)の追加開発要望に翻弄され、進捗を適切に管理できなかった」(同)とし、PM義務違反を認定した。

 この判決に納得がいかないNTT東は控訴審で反論。旭川医大の担当者から「追加の要望を反映しないシステムは検収で合格させない」と迫られたとし、「判決のような(追加開発を拒絶する)対応は非現実的だ」と主張した。