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AIやロボットを使う企業は、人間の責任範囲を明確にせよ

 今回の不祥事から、我々は何を学べるか。確実に言えるのは、あらゆる企業にとって、今回の問題は無縁ではいられないという事実である。これからの時代、AI(人工知能)やロボットが様々な業務に入り込んでいくのは確実だ。AIやロボットは特定の業務領域において、人間をはるかにしのぐ処理能力を発揮してくれる。自動化や機械化の恩恵は大きい。

 ただし、何か問題が起きたとき、誰がどんな対応を取り、誰がその責任を負うのか。AIやロボットは責任を取ってくれない。だからこそ、管理者の役割と責任範囲の見直し、および、本人への自覚の徹底がどんな企業にも共通する課題になる。

 もう1つだけ、懸案事項を挙げておく。神戸製鋼は先の報告書で「自動取り込みができない試験検査データに関しては、試験検査業務での一人作業を無くし、必ず複数名で0次データ(検査時の生データ)がチェックされる仕組みを構築する」としている。いわゆる、人手をかけたダブルチェック、トリプルチェックのことだ。

 小倉氏は「なぜなぜ分析に初めて取り組む企業で必ず出てくる再発防止策がダブルチェックやトリプルチェック。私に言わせれば、これらは再発防止策ではない」と手厳しい。いまだに製造現場で飛び交う「何人もの担当者のはんこが押された(責任の所在が不明確な)書類」も、おそらく過去にさかのぼれば、ダブルチェックやトリプルチェックの習慣に行き着くだろう。

 ここでも管理者の役割と責任を考えてみてほしい。ダブルチェックやトリプルチェック自体は悪いことではない。ただ、繰り返すが、管理者の役割は同じミスが起こらないような仕組みを考えることだ。何人ものマンパワーをかけて最終チェックを繰り返すことに頼るのは、根本的な問題解決になっていない。だから小倉氏は再発防止策としてダブルチェックやトリプルチェックを挙げてきた企業には「再発防止策とは何か」という基本から指導する。

 再発防止策とは、同じ問題が起きないように(昔から続く)ルールや標準化を今の時代や雇用形態に合わせて見直したり、リストや書類のフォーマットをミスが起きにくいように変更したりする具体的な施策を指す。それを忘れないでほしい。こうした修正や変更をせずに、ダブルチェックやトリプルチェックといった力技による確認作業の回数だけ増やしても、徒労に終わる。

 2000年前後に日本企業に持ち込まれたコーポレートガバナンス(企業統治)や内部統制、コンプライアンス(法令順守)といった概念を含め、それから15~20年が経過した今こそ、現場の管理態勢をもう一度、抜本的に見直すタイミングが来ているのだろう。