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 メガバンクで、日本IBMの質問応答システム「Watsonテクノロジー(Watson)」を実用化する動きが広がっている。まずは、リテール向けのコールセンター業務に投入する。オペレーター業務の効率化と品質の向上で成果を挙げたい考えだ。

 三井住友銀行は2014年9月よりWatsonのPOC(Proof of Concept、新しいコンセプトを実証すること)を実施。既に、実用化のメドとしていた正確さの水準をクリアしているという。みずほ銀行は2015年2月にも神奈川県のコールセンターで部分的に導入し、来夏には全席に展開する予定だ。

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 「ネットバンクは誰でも利用できますか」。銀行のコールセンターには、こうした質問が日々寄せられる。オペレーターは電話応対の中で顧客が知りたがっている内容をくみ取り、問答集や業務マニュアルを調べて回答する。Watsonが担うのは、オペレーターがスムーズに回答するための支援である。大まかな流れは次のとおりだ。

図●コールセンター業務でのWatson活用の流れ
図●コールセンター業務でのWatson活用の流れ
*1 三井住友銀行は手入力、みずほ銀行は音声認識による入力を見込んでいる
*2 DB:データベース
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 まず、Watsonが質問をテキストデータで取り込む。さらに、取り込んだ質問内容を解釈し、あらかじめ質問と回答のセットを格納しておいたデータベース(DB)と照合する。照合先となるDBに格納する情報の元となるのは、問答集や業務マニュアルだ。DBに格納された質問・回答の中から、適切である確率(確信度)の高い順に並べた結果をオペレーター画面に表示。オペレーターはそれを参考にして、回答する()。

 オペレーターが問い合わせに対する回答を全て暗記するのは至難の業だ。特に金融機関では、誤った回答をするわけにはいかないという意識が強い。正確を期すためには熟練の担当者といえども、問答集や業務マニュアルを都度参照したり、現場責任者に確認したりといった作業が必要になる。新人の場合はなおさらだ。メガバンクがWatsonに期待するのは、こうした業務の負荷軽減である。