PR

 企業は様々なソーシャルメディア施策を展開してはいるが、それが自社のマーケティング戦略と密に連携しているか、あるいはきちんとした結果をもたらしているかという点について、CMOの評価はそれほど高くない。「ソーシャルメディア戦略と自社のマーケティング戦略は密に連携しているか」という問いに対するCMOによる評価は7段階中3.9点と、ほぼ中間程度となっている。

 「ソーシャルメディア施策は、自分たちのビジネスにインパクトをもたらしているか」という問いに対しては「まだどのようなインパクトも感じていない」という回答が全体の45%で、「質的なインパクトは感じているものの、量的なインパクトは感じていない」という回答が40%となっている。つまりCMOにとってソーシャルメディアは、「ビジネスに対してほとんど影響を与えていない」か、「仮に影響があったとしても、それは決して大規模なものとはいえない」と評価されている。

 そういう流れが影響しているのか、ソーシャルメディア戦略における評価指標も、4年前と現在とでは大きく変化している。2010年8月調査時では「顧客一人当たりの売上高(もしくは利益)」や「カスタマーリテンション(顧客維持)コスト」といったものを使う傾向が比較的多く見られていた。しかし今回の調査時では「(ウェブサイトの)訪問者数やページビュー」や「(SNSアカウントの)フォロワーやファン数」といった、「購買」よりも「認知」の側面を重視した効果測定指標を設定している企業が多くなっている。

 これは、当初はソーシャルメディアを「消費者を購買に結び付けるもの」として位置付けていた企業が、次第にその位置付けを変えてきた結果と考えられる。そして現在CMOたちにとってソーシャルメディアは「認知」を拡げるためのもの、あるいは消費者が購買にあたって情報収集や比較検討を行う際に必要な情報を提供するものとして位置付けられている。

 ソーシャルメディアが、こういった評価をされている一因として「CMOに対するプレッシャー」が高まっているというものがある。「CEO(最高経営責任者)をはじめとした取締役会のメンバーにマーケティング活動の価値を証明するためのプレッシャーを常に感じている」と回答したCMOは全体の62%だった。さらに「そのプレッシャーは次第に強くなっている」と回答したCMOは、その中の65%に上る。

 マーケティング活動として目立った結果を証明させる際に、ソーシャルメディアは決め手に欠けるという評価をされている――。そんな結果が、本調査にも反映されていると言っていいだろう。

熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
アドビシステムズ ソリューションコンサルタント
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後広報代理店のリードデジタルストラテジストおよびアパレルブランドにおいて日本・韓国のデジタルマーケティングを統括。2013年4月から現職。