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多品種少量化が進む書店業務の課題解決にITで取り組む

 川崎興産が経営するメトロ書店の事業は1965年にスタートした。現社長・川崎氏の父である先代社長が長崎駅前に経営する映画館の待合室に書棚を設けて開業したという。映画館が地下にあったことから、地下鉄を意味する「メトロ」を書店名に冠した。その後、事業が拡大していったが、取扱商品の多品種少量化が進んだため、業務の効率化が課題になっていった。

 当時、メトロ書店の売上管理と発注業務は、一般の書店と同様に「スリップ(書籍の中に挟む二つ折りの長細い伝票)」で行われており、書棚に並べた商品の位置は、川崎氏の母である先代社長夫人が全て暗記していた。大学卒業後に長崎へUターンして店長に就任した川崎氏はそうした状況に危機感を持ち、書店業務の抜本的な効率化に取り組む(写真3)。

写真3●川崎興産 代表取締役の川崎孝氏
写真3●川崎興産 代表取締役の川崎孝氏
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 対策として、川崎氏が検討したのが書店在庫管理システムの導入である。当時は書店在庫管理システムがパッケージとして販売されていなかった。そこで同システムの開発に大手メーカーの技術者と共同で取りかかったが、1年たっても期待していたシステムをメーカーが提供してくれない。

 普通ならここであきらめるところだろうが、川崎氏は「ならば自分が開発するしかない」と考えた。まず、当時かなり高額であったオフコンを購入し、事務処理用のプログラミング言語であるCOBOLの勉強を一から始めた。寸暇を惜しんで多数の専門書を読み、プログラムを自ら作成。ついに1980年、日本初の書店在庫管理システムを導入する。

 導入初日、在庫の有無を尋ねる顧客が店舗を訪れた。顧客が話した書籍名を川崎氏がシステムに入力し、表示された棚番号を見て、書籍を即座に取り出すと、大変感謝されたという。この書店在庫管理システムはたちまち評判になり、書籍に関する新聞記事の切り抜きなどを持参して相談する顧客も現れたという。「これはすごいシステムだ。必ず他の書店も欲しがる。必ず売れる」。川崎氏はそう確信したと振り返る。