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 日本企業、特に大企業の間で一大ブームとなりつつあるのが「働き方改革」で、バズワードとしても赤丸急上昇中だ。今や「人工知能(AI)」や「IoT(インターネット・オブ・シングズ)と並び、働き方改革の話を聞かない日はない。だが、ERP(統合基幹業務システム)などを活用した業務改革が死屍累々だったように、「改革」という言葉はとにかく日本企業には縁起が悪い。

 というか、既に大多数の日本企業で働き方改革の失敗は確定している。その理由について、この最初の一文を読んだだけでピンと来た読者もいることだろう。業務改革、より正確には業務プロセス改革に取り組んだ日本企業はことごとく失敗しているのである。つまり、ほとんどの企業は業務改革に失敗、もしくは未経験の状態で、働き方改革に取り組もうというのだ。もう、バカも休み休み言えである。

 働き方改革は言うまでもなく“官製”だ。安倍政権が長時間労働の是正などの働き方改革を最重要政策課題として掲げた関係で、我も我もと企業の経営者が働き方改革を唱え始めた。もちろん、単に従業員の長時間労働などが是正され、世間から「ブラック企業」と指弾されるリスクが無くなるだけでなく、労働生産性の向上で収益力がアップすれば企業としても素晴らしい。だから官製の改革に一口乗らない手はないのだ。

 だが、その働き方改革の多くは、その中身が噴飯モノだったりする。要は、熱心に旗を振る役員が退任すると霧散する、あの“ふわふわ”した日本企業流のワークスタイル改革と何ら変わるところがない。まさに「ワークスタイル」というカタカナ英語を日本語で言い換えただけである。全社的に業務プロセスを見直すという本質的な改革を放置して、ふわふわ改革を進めても失敗は必定である。

 それどころか、老朽化した基幹系システムやアドオンの塊のERPに乗るグチャグチャの業務プロセス、そして部門ごと個人ごとに部分最適化し属人化した業務のやり方をそのままにして、ITで“いつでも、どこでも働ける”環境を提供したらどうなるか。下手をすれば“いつでも、どこでも働かなければならない”環境が出現し、職場のブラック化を推進しかねない。