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業務改革、システム刷新なしに働き方改革は無理

 冒頭でも書いた通り、日本企業のほとんどは、ERPなどを活用した業務改革に失敗したか、取り組んでもこなかった。そのため、非効率な業務プロセスが温存され、部分最適、属人化した業務の巣窟となっている。本来、業務を効率化するはずの基幹系システムが、利用部門の個別要求に対応してきた結果、複雑怪奇な業務プロセスを抱え込んでしまい、逆に非効率の温床と成り果てているところも多い。

 本来、働き方改革を実現しようと思うなら、これを何とかしなければならないはずだ。しかも、そのためには、なぜこのような事態に立ち至ったか、原因を冷徹に分析できていなければならない。その原因とはもちろん、愚かなカイゼン活動だ。極言暴論で何度も指摘しているので繰り返さないが、要は全体最適ではなく、現場の工夫で部分最適化を繰り返し、ご丁寧にも基幹系システムでその非効率を固定してしまったのだ。

 だから、働き方改革の正しい手順はまず、業務改革で全社的に業務プロセスを標準化・見える化し、併せてERPを使うかどうかは別にして、基幹系システムを標準の業務プロセスを乗せたものに刷新することから始める必要がある。「ここから始めよ」と書いたが、実はこれだけでも長時間労働是正には劇的な効果があるはずだ。

 各部署で分散処理していた業務を集中処理に変え、業務プロセスも標準化すれば効率は上がる。実際、欧米企業ではERPの業務プロセスをそのまま導入することで、人を減らし、一般管理費などの削減につなげている。人減らしを行わない働き方改革で同じ事をやれば、個々の従業員の負荷は大幅に下がるはずだ。しかも、業務が標準化・見える化することで、代わりの人を見つけやすくなるため、担当者が長期休暇を取るのも容易になるだろう。

 こうした業務改革やシステム刷新は、もちろん経営が主導すべきことだ。本来なら働き方改革に取り組むより、はるかに前に片付けておかなければならなかった重大な経営課題。だが、欧米企業と異なり、ずっと先送りを続けてきた日本企業の経営は、働き方改革に必要不可欠であるにもかかわらず、またもやスルーしようとしている。で、長時間労働是正に向けては現場の従業員の努力に期待する。恐るべき経営の怠慢である。