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IT活用でも日本は後進国

 ITベンダーが自らの効率化の成果を料金引き下げの形で献上してくれたからと言って、ユーザー企業にとって大きなプラスになっているかと言うと、全くそうではないのがSIの人月商売の哀しいところだ。もちろん料金が安くなればユーザー企業はハッピーなはずだが、その分、ユーザー企業は業績の足を引っ張るだけのムダなシステム、ムダな機能を作り込んでしまったのだ。

 特に基幹系システムはムダの塊だ。ERP(統合基幹業務システム)などのパッケージ製品をそのまま導入したほうが効率的なのに、ゼロからスクラッチで作ったり、ERPなどを思いっきりカスタマイズしたりした結果、ユーザー企業は大変な額のムダな料金をITベンダーに支払ってきた。SIの単価が多少下がっても焼け石に水、安くなった分、さらに余計な機能を作り込んだりもした。

 結局のところ、独自の業務のやり方へのユーザー企業の異常なこだわりが、SIの人月商売という後進国型のビジネスを育んできた。そしてユーザー企業にとっては、単に割高のシステムを導入しただけに済まない問題がある。こうしたシステムは、外部の人間には理解不能な業務プロセスの塊。標準プロセスの導入によるコスト削減という本来の目的は達成されないどころか、非効率なプロセスを温存する結果となった。

 つまり、割高なITコストと非効率な業務プロセスの温存という二重の意味で、人月商売で作り出されたシステムは、ユーザー企業の業績の足かせとなった。IT産業だけでなくユーザー企業のIT活用においても、日本は後進国なのだ。米国などの先進国では、ERPなどを活用した業務の効率化はほぼ完了。今はイノベーションにITを活用する段階に入っている。先進国との差はIT活用でも広がるばかりだ。

 日本のIT産業とユーザー企業のIT活用の後進性は、このようにシャレにならない事態を生み出している。さらに言えば、ユーザー企業の競争力強化に役立たないどころか、足を引っ張っているシステムのために、多くの技術者が動員されているのだ。なんというヒューマンリソースの無駄遣いであろうか。