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 グロースハッカーの4つの実践プロセスの第3段階は「顧客を広げる」。ここでは、顧客を広げるための3つのアプローチを紹介する。

 コアユーザーをつかむことに成功したグロースハッカーは、コアユーザーから他ユーザーへの推奨・拡散を後押しする施策を実践することになる(広げる)。と同時に、コアユーザーに対して更なる定着・ファン化を目指すべく、プロダクトを改善・高度化する(極める)ことも欠かせない。

 実は、「広げる」と「極める」は密接に関連している。まず顧客を広げるためには、「自然な口コミ・推奨」「プロダクトの機能」「人為的インセンティブ」という3つのアプローチがある。

 1つ目の自然な口コミ・推奨は、意図的な設計が難しい。このため、広げるより極める方が先というケースも当然考えられるが、「AARRRモデル」に縛られて厳密な順序を気にしすぎるよりも、「好循環の関係にある」ことを押さえることが現実的には重要である。

 むしろ、意図的に広げるアプローチを展開することで、プロダクトをさらに極めずとも、顧客が定着・ファン化する事例も存在する。残りの2つのアプローチを紹介する。

プロダクトの機能で「広げる」

 ランニングは健康に良いと分かっているが、基本的には孤独で、なかなか継続しない側面がある。「Nike+running App」は、ランナーのやる気を高める様々な機能を備えている。ランニングの目標設定機能やコーチング機能、自分の好みのBGMを設定できる機能といったように1人で走っていてもやる気を持続できる仕組みが満載だ。

 ここで注目すべきは、「自分が走っていることをFacebookでシェアでき、友達が『いいね』を押すと“歓声”が聞こえてくる」「同じ目標を共有する友達同士で競い合える」という2つの機能だ。

 ポイントは「ユーザーとその友達の関係をより良くするために、どのような機能が必要か?」という意図を持って設計されていることである。

 ランニングの練習は1人でやることが多いが、大会に出場すると多くの拍手や歓声に包まれて、ランナーは「より頑張ろう」という気持ちになる。こうした「応援する」「応援される」という相互作用は、人間の自然な感情によるもので、より良い関係を育む。

 友達が「いいね」を押すと“歓声”が聞こえる機能は、こうした関係をテクノロジーで再現しているといえる。たくさんの人がこの歓声を聞くために、自動シェア機能をオンにし、特別なプロダクトの改善・高度化がなくとも、「歓声が聞けるから、今日も走ろうかな」という気持ちになるのではないだろうか。

 Nike+runningは、的確なユーザーインサイトに基づき、適切な機能をプロダクトに埋め込むことで「広げる」を達成し、プロダクトを「極めず」とも、顧客が続けたい気持ちを作り出している。