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ブランク氏は、大企業内や政府機関におけるイノベーション創出を支援しています。こうした取り組みを通じて、スタートアップ企業向けのツールをベースとした、大企業/組織における「成功の方程式」が導かれつつあります。(ITpro)

 私は、大企業と米国政府に対して、より迅速にイノベーションを実現するための支援をしています。単にスピードアップするのではなく、発案数を10倍にし、所要時間を5分の1にする、つまり50倍ものスピードアップを図るものです。

 それは、以下のようにして進めています。

リーン・イノベーション・マネジメント

 過去5年間、「リーン・スタートアップ」方式によって、起業家がやみくもに事業遂行を試みるのではなく、製品と市場の適合性を探し求めることで、効率的にスタートアップ企業を創業できるようになりました。イノベーションを追求している大企業は、オープン・イノベーションを買収するか、構築するか、パートナーになるか、あるいは利用することが可能です。しかし、既存の企業は、スタートアップ企業のようなスピードと緊急性をもって、社内でイノベーションを可能にする統一理論を見つけようとしましたが、手に入れることはできませんでした。

 いくつかの企業の果敢なイノベーターは、初期段階のスタートアップ企業で有効だったリーン・スタートアップのツールと手法を、既存の企業に適応しようと試みたのですが、結果はカオスで、混乱があり、フラストレーションがたまって、最終的には失敗しました。それは「イノベーション劇場」として幕を閉じました。つまり、素晴らしいプロジェクトがあって、その企業がいかに革新的であるかを盛り込んだ素晴らしいプレスリリースが発表されましたが、製品の将来の道筋には影響がほとんどありませんでした。

 有名な樹脂メーカーであるW.L.Goreのイノベーション部門長を務めるグレッグ・ハンノン氏と一緒に仕事をするなかで、リーン・スタートアップ手法を企業のイノベーションに導く、2つの企業戦略ツールを見つけました。それは、ほかの賢い人たちが開発したものです。

 最初の1つは、オライリー氏とタッシュマン氏の「二刀流の組織」という考え方で、継続的なイノベーションを求める企業は、その企業の中核ビジネスモデルを遂行しながら、同時にイノベーションも行うという考えです。言い換えると、「二刀流の組織」では「ガムを噛みながら、同時に歩く」ことができる必要があります。

 企業のイノベーションにおける2番目の重要なアイデアは、バグハイ氏、コーリィ氏とホワイト氏による、「イノベーションの3つの領域」です。企業はイノベーションを、領域(horizon)と呼ぶ3分野に配分すべきだと、彼らは提案しています。

・第1の領域は、成熟した事業
・第2の領域は、急成長している事業
・第3の領域は、新しく出現した事業

 それぞれの領域には、異なる焦点、異なるマネジメント、異なるツール、異なる目標が必要です。

 3つの領域は、信じられないほど有効な分類基準を示しています。しかし実際には、ほとんどの大企業はこの3つの領域を、同一のビジネスモデルを段階的に拡大して、単に事業遂行することだとみなしているのです。

 これらの理論は、企業のイノベーションをどのように理解するかを説きますが、それをどのように起こさせるかについては説明していません。

 現在へと時間を戻しましょう。イノベーションを迅速に進めるために、21世紀のツールとしてビジネスモデル・キャンバス、顧客開発、アジャイル・エンジニアリングがあり、それらを全て集めたのが、リーン・スタートアップ方式です。私たちは、これらのスタートアップ用ツールを、既存の企業内で使えるように応用できます。

 そのためには、「イノベーションの3つの領域」の概念を維持したまま、その枠組みを変えて「リーン・スタートアップ」方式で学んだことと組み合わせるのです。その結果は、次のようになります。

・新しい、リーン方式版の「イノベーションの3つの領域」
・「二刀流組織」の企業
・目にも止まらぬ速度で、既存の組織が新しいアイデアを構築し検証する手法