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日本でも大企業におけるイノベーション創出に注目が集まっていますが、ブランク氏も大企業や政府機関の取り組みに時間を割いているようです。今回はその導入にまつわるエピソードが紹介されています。(ITpro)

 私は今年、リーン手法を採用し適用している、大企業と政府機関との共同作業に時間を費やしています。最も驚いたのは、事業を遂行する企業において、イノベーターであるのがどれほど困難かを学んだことです。

私たちは何を失ったのでしょうか

 増え続ける外部の混乱(技術の変化、新しい競合企業、圧倒的に不利な戦いなど)に直面している、連邦官庁の中堅幹部のリチャードと、私は共に作業をしています。彼が属する官庁における、複数のイノベーション部署が、スタートアップ企業を目指してリーン手法の適用を試み始めました。リチャードは、自らが所属する組織に対して、変革が必要だと認識させようとしてきたのです。執拗で効率的なリチャードは、熱意をにじませると同時に、楽観性も持ち合わせています。彼には賛同者が現れ、彼の所属部門のイノベーションを主導することになりました。

 彼は、リーン手法とイノベーションの3領域の概念(第1の領域は、既存ビジネスの遂行、第2の領域は、既存ビジネスモデルの拡張、第3の領域は、新しいビジネスモデルの探求)を採用するよう、所属部門に働きかけており、加えて私の全米科学財団(NSF)のI-Corps/Lean LaunchPadを基にした、リーン・イノベーションのパイプライン(供給経路)を作成しています。

 それにもかかわらず、今日の夕食の際、フラストレーションが爆発しました。

 「私たちのイノベーションの試みは、ほとんど場合『イノベーション劇場』で起こっているにすぎません。つまり、CEOからのメモ、カフェテリアのポスター、企業のインキュベーターといった見かけだけの動きで、本当の変革は起こっていないのです。以前の私たちは、闘志に満ち、迅速に動き、『やればできる』という態度で恐れられた組織でした。

 しかし今では、ほとんどの人たちは『波風を立てたくない』という態度で、朝9時から夕方5時まで働くだけです。中堅の官僚たちは、全ての案件を徹底的に調べて潰すか、『それはあまりにもリスキーだ』と言います。私がやり遂げた全ての革新的な事柄は、数年におよぶ政治的な闘争と、 味方を募り、同盟を構築することが必要だったのです」。

 彼は1分ほど考えて「ああ、この組織を改良する、ベストな方法を教えてくれる解説書があればどんなにいいか」と言いました。

 リチャードは続けて言います。「イノベーションは、スタートアップ企業が日常業務の1つとして行なうもので、彼らのDNAの一部ですよね。なぜなんでしょう」

 新しいアイデアを採用することは、大企業ではより困難だと、私は概念的に理解していましたが、変革を成功して行っている人物の口から直接聞いて、リチャードがどれほど並外れた人物であったとしても、大きい組織に変更をもたらすことが、どれほど困難であるかを認識しました。1)「企業の反逆者が成功する方法」の解説書はあるか、そして2)なぜ、スタートアップ企業は根っからイノベーティブであり、大企業は例外的にしかイノベーティブでないのか、という彼の2つの質問に対する答えを、私が探しましょう。