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 米オラクルの創業者でラリー・エリソン氏がCEO(最高経営責任者)を退くことになりました(関連記事:OracleのEllison氏がCEOを辞任、今後は会長兼CTOに)。2人の共同社長が、そろって共同CEOになる後継人事に意外性はありませんが、一時代が終わったという感じを受けます。

 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏がPCで起こしたほどの変革をもたらしたかどうかはわかりませんが、エリソン氏率いるオラクルはRDBの、さらにはオープンシステム時代の到来に貢献しました。その後のネットワークコンピュータ構想、矢継ぎ早の買収攻勢も、IT業界に大きな影響を与えたものです。

 日本関連で言えば、1990年代初頭に新日本製鉄からの融資受け入れ、子会社の日本オラクルが日本で株式上場、といった話題になるでしょうか。お花見が好きで、何有荘を所有しているといった、エリソン氏個人の日本好きを忘れることもできません。

 個人的には、記者会見や各種のキーノートスピーチでエリソン氏の役者ぶりを見る機会が減りそうなのが残念です。米国の大ヒット映画「アイアンマン」シリーズに本人役で登場したこともありました。社名が「神託」を意味する英語というところから芝居がかっています。

 オラクルが日本で開いた記者会見で、オープンソースがソフトの世界に与える影響について尋ねたときの答えも忘れられません。「オープンソースという言葉はロマンスを感じさせ、神秘的な響きがある。開発者のコミュニティがソフトを進化させていると思われているかもしれないが、例えば実際にLinuxを開発しているのは、IBMであり、インテルであり、オラクルだ。現実に、Linuxを使って困っているユーザーが、(Linuxのディストリビュータである)レッドハットではなく当社に問い合わせてくることもある」というものです(「『Linuxを開発しているのはIBMとインテル、オラクルだ』と米オラクルのエリソンCEO」)。人を食ったような強気な答えというのでしょうか。

 ただ、タイトルにもあるように、エリソン氏は完全に引退するのではなく、会長兼CTO(最高技術責任者)としてオラクルにかかわり続けます。上記記事によれば「ソフトウエアおよびハードウエアエンジニアリング部門を指揮する」のです。しばらく前にオラクル関係者と話していた時、「CEOになっても開発部門は手放さない。製品について決めているのはエリソン氏だ」と聞いたことがあります。これからは、CEOという主役を食うCTOとしての名脇役ぶりを見せてくれるかもしれません。