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 米国でクールな自動車メーカーといえば、ネット決済サービスのペイパルや民間ロケット会社のスペースXなどを起業したイーロン・マスク氏が率いるテスラモーターズ。同社が製造する電気自動車は「ソフトウエア・デファインド・カー」と呼ばれる。

 今、米国では「ソフトウエア・デファインド(Software-Defined)」が、ITベンダーの技術者だけではなく、広く流行り言葉としてもてはやされている。直訳すると「ソフトウエアにより定義された」だが、「ソフトウエアが定義する」と訳したほうが自然かもしれない。

 日本ではソフトウエア・デファインド・ネットワーク(SDN)が著名で、関連製品やサービスが普及し始めているが、米国ではどんなものにでも、頭にソフトウエア・デファインドを付ける。ソフトウエア・デファインド・カーをはじめ、「ソフトウエア・デファインド・ロボット」「ソフトウエア・デファインド・マシン」といった具合だ。

 日本人からすると、この言葉の意味が分かりにくい。「SDNでさえもよく分からないのに、ソフトウエアにより定義されたクルマと言われてもねぇ」というのが、多くの読者の率直な感想だろう。

 だが日本人、特に製造業の人が「よく分からない」「単なるバズワードだろう」などと言っていると、近い将来、大変なことになりかねない。日本のものづくりは事業コンセプト、言い換えると戦略レベルで米国企業などに負ける恐れがある。下手をすると、一時壊滅状態に陥った家電産業の二の舞になるかもしれないのだ。

日本の家電の苦い教訓を生かせ

 では、ソフトウエア・デファインドの真の意味とは何なのか。普通に考えれば、ソフトウエアにより定義されるわけだから、プログラミングできるクルマやロボット、機械ということになる。でも、単にそういう意味ならば「プログラマブル」と言えばよい。それに今や、クルマをはじめ多くの製品では、様々な機能が組み込みソフトにより既に定義(=実現)されているから、何もあえてソフトウエア・デファインドと言う必要もない。