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コミュニティーの存在が好循環を生む

 では、なぜROSなのか。ROSを用いてロボットの研究を行っている東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻准教授の岡田慧氏は、その理由を次のように説明する。「ROSには小さいROSと大きいROSがある。前者は、ミドルウエアとしてのROSそのもの(通信ライブラリ、移動/操作/認識などのライブラリ群)。後者は、それにソフトの開発環境(ツール)と作成したソフトを発表/流通させる場(コミュニティー)を加えたもの。ツールやコミュニティーが提供されている点が他のロボット用ミドルウエアにはないROSの最大の特徴であり、この点が評価されている」。

 実際、岡田氏は「ROSを使う前と使った後では世界が一変した」とその感想を述べている。例えば、同氏らの研究グループでは、7階の研究室から2階のサンドイッチ売り場までサンドイッチを買いにいくロボットを開発している。以前なら、研究室からエレベータまでとエレベータからサンドイッチ売り場までを、ロボットを自律移動させるソフトも開発しなければならなかった。ところが、ROSのコミュニティーには、自律移動のためのソフトがアップロードされている。従って、自律移動に関してはそのソフトをダウンロードすれば大方は済む。結果、エレベータの認識やエレベータにおける昇降の操作、サンドイッチ売り場の店員とのインタラクションといった本来の研究開発テーマに集中することができ、研究の効率が上がったという。

 しかも、開発したソフトは、コミュニティーにアップロードしておけば、いろんな人に使ってもらえる。それにより、検証が進み、場合によっては他者が改良してくれる。そうしたコミュニティーの存在が好循環を生み、ロボット開発を加速させるのだ。ROSのコミュニティーは言ってみれば、ロボット版の「iTunes Store」だと、岡田氏はその意義深さを強調する。