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3.2 LISMOサービス

3.2.1 音楽総合サービスとしてのLISMO

 携帯電話で楽曲を楽しむ文化が増加しつつある一方で,アップル社のiTunesのようにCDからiPodなどのデジタルオーディプレイヤーに楽曲をインポートする方法も次第に認知されてきたこともあり,CDから取り込んだ楽曲を携帯電話に転送したいというニーズが出てきた.また,購入した着うたや着うたフルコンテンツをパソコンにバックアップしたいという要望も出ていた.これらに応えるために,「LISMO」という音楽総合サービスとして,PCと携帯電話を連携させるアプリケーションソフトau Music Port (後にLISMO Port)を開発した[11].

 au Music Portでは,ニーズが高かったCDから携帯電話用フォーマットへの変換や,着うたフルなど携帯電話に保存している楽曲データのバックアップを実現した.ただし,楽曲自体は著作権コンテンツとなるため,コンテンツが違法にコピー・再生されないような著作権保護が非常に重要なキーとなってくる.このため,au Music Portでは,電話番号を鍵とした暗号や既存の暗号を組み合わせてコンテンツ保護を行った上で,PCとのやり取りができるようになっている[12].特に,著作権コンテンツの保存先として,携帯電話の内蔵メモリ以外に,miniSDカードのような携帯電話から取り外しができる外部メモリデバイスにも保存でき,またデバイスの違いを意識することなくコンテンツを利用できるようにする点や,au Music Portを使ってパソコンに安全に著作権コンテンツを格納できるようにする点が一番苦労が多かった.当時日本の楽曲に対してこのような取り組みを行っている先行事例はなかったが,①購入した着うたフルをminiSDカードから再生する場合は,該当する携帯電話に差し込まないと再生できないようにしたり,②着うたフルをバックアップしたパソコンからの再生も該当する携帯電話をパソコンに接続しないと再生できないようにするなど,コンテンツ管理コンセプトを統一させた.これらによって,楽曲を保有する音楽レーベルからau Music Portのフレームワークについて理解を得ることができた.この点については,3.1.2項で述べたようにレコード業界と通信キャリアが共通の利益の元に着うたサービスを開発でき,それがビジネス的な実績に結び付いて業界横断的な信頼関係を構築できたいたからこそ,au Music Portも実現することができたともいえる.なお,2000年代半ばには,携帯電話に実装できる蓄積容量もGBオーダに大幅に増加してきたため,このような連携ソフトによって,携帯電話が本格的なミュージックプレイヤーとして使えるようになった.

 また,au Music Portを単なる転送ソフトとして利用するだけでは利用機会も限られたものになることや,音楽サービスを中心に携帯電話の利便性を高めるためにも,携帯電話で撮影した写真やビデオ,メール,電話帳など,バックアップしておきたいデータを簡単にパソコンに保存できるようにした.これらによって,たとえば機種を変更した場合でも,すべてのデータをスムーズに移行することができ,携帯電話にかかわる利便性を大きく向上させた.