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1. はじめに

 近年,BigDataの利用が進んでいる.BigDataとは,webページや画像・動画,センサ・データ等の,大容量かつ発生速度が速い,多種多様なデータを指すキーワードである[1,2].このようなBigDataを利用する機運が高まってきたのは,Googleの検索基盤[3]や,Amazonの各種サービス[4]等, BigDataを利用したサービスが登場してきたためであると考えられる.

 しかし,BigDataを利用する際,従来のリレーショナルデータベースでは容量や速度の面で,要求に応えられないという課題があった[5].そのため,各企業や組織ではBigDataを利用するためのNoSQLデータベース[6]と呼ばれる大規模分散処理システムを独自に開発してきた.

 NTTソフトウェアイノベーションセンタ(旧PF研)においても,BigDataを扱うための処理基盤である大規模分散処理システム(CBoCタイプ2(Common IT Base over Cloud Computing)[7])のソフトウェア開発を進めてきた.ソフトウェア開発においては,ソフトウェアの動作を確認する試験が必須であり,V字モデルの開発モデルでは,開発フェーズに応じて複数の試験が存在する.最終のシステム検証のフェーズでは,実運用する環境やユースケースに沿った試験によって,機能要件や非機能要件に対して要求された品質を満たすことを確認する.ただし,要求される品質はシステムの特性によって大きく異なるため,検証観点もシステムの特性によって異なる.そのため,試験計画時には,まず重視する検証観点を決定する必要がある.本論文では,大規模分散処理システムのシステム検証において重視すべき検証観点を明確化する.

 本論文の構成を以下に述べる.第2章では,大規模分散処理システムが持つ特性,及び,CBoCタイプ2について述べる.第3章では大規模分散処理システムの検証で重視すべき検証観点について述べる.第4章では,上述の検証観点に基づく試験項目の実施結果から,抽出できた問題が重視すべき検証観点に対応した問題であることを示す.加えて,問題発生の要因を考察し,大規模分散処理システムの検証で有効な試験を紹介する.最後に第5章では,全体のまとめと今後の課題について述べる.