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 図2に示すようにMOYAは大きく分けて2 つのSTEPから構成される.各STEPにはその中で実施するプロセスが定義されている.さらにプロセスの中にはより詳細な実施事項としてタスクが定義されている.

表2●課題の整理結果(一部抜粋)
表2●課題の整理結果(一部抜粋)
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 REBOK(Requirements Engineering Body Of Knowledge)では,要求を定義するプロセスとして「要求獲得」,「要求分析」「要求の仕様化」「要求の検証・妥当性確認・評価」を定義している[11].MOYAのSTEP1では「要求獲得」,「要求分析」に対応し,ビジネスとして何を実現すべきかを明らかにすることを目的にしている.STEP2 は「要求の仕様化」,「要求の検証・妥当性確認・評価」に対応し,ビジネスとしていかに実現するべきかを明らかにすることを目的にしている.

 本稿では,要求定義の品質を左右する要因の根幹となる「なぜ作るか」を明らかにする手法,つまり前述の(関係者,課題,目的,手段,業務)のうち関係者,課題,目的,及び手段をターゲットとしたSTEP1にフォーカスして述べる.

 本稿の構成は以下の通りになる.まず,第2 章ではMOYAの内容を紹介する.次に第3 章ではMOYAの適用事例とその結果の考察を述べる.最後の第4章では,本稿のまとめを述べる.

2.MOYA

2.1 プロセス1:「ステークホルダ分析」

 ステークホルダ分析では,それぞれのステークホルダ(利害関係者)が認識している状況から意見の対立や多数派意見を把握し,全体状況を俯瞰する.

2.1.1 タスク1:「ステークホルダの抽出」

 初めに,ステークホルダの抽出では,分析対象となる業務やシステムにおける,利用者,運用者,管理者などの視点でステークホルダを洗い出す.このとき,対象のシステムに関心を寄せる経営層などもステークホルダとして抽出する.実務担当者だけの意見では組織的なゴールや課題を理解していない可能性があり,表面的であったり個人的な意見の抽出にとどまってしまうことがあるためである.

 次に,後述するタスクである「課題の抽出」と「重要課題の識別」において,ステークホルダごとの課題の関連性を見ながら,ステークホルダを整理する.具体的には,同一ステークホルダの意見の間で対立が起こるようであればステークホルダの分解を,一方で異なるステークホルダが持つ意見がまったく同じ場合にはステークホルダの統合を検討する.このようにしてステークホルダの分類を精査していく.