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 サムスン電子は欧米、オーストラリアなどへのGalaxy Note7出荷を中断した。米国では点検後バッテリーに問題がなく、交換なしでそのまま使い続けるユーザーには、25ドルのギフトカードを贈呈するという。

 サムスン電子が発表した不良の原因は、バッテリーのセルである。バッテリーセル内部にある、陽極と陰極を分ける分離膜に欠陥があるため、陽極と陰極がぶつかって異常加熱、発火という問題が発生した。その他の部品に、問題はないという。

 サムスン電子はGalaxy Note7の年内1000万台出荷を目標としていたが、達成できるかどうか難しい状況になってきた。

 ソウル市内のサムスン電子のサービスセンターには、自分のGalaxy Note7のバッテリーに問題がないか点検に来る人が後を絶たない。サービスセンターは日曜もオープンし、ユーザーの不満や不安をなくそうとしている。  サービスセンターで行っているのは、バッテリーの電流量の測定。充電端子をセンターのパソコンにつなげると、10分ほどでバッテリーの電流量を測定できる。

 電流量が4500mA以上だと、バッテリー不良ということでその場ですぐ回収。新規デバイスが届くまで、Galaxy S7を貸し出す。4000mA~4500mAの場合は、ユーザーに回収を勧める。それ以下の場合も、安全に問題はないものの、ユーザーが望めば新しいデバイスに交換する。

 韓国内では、新規デバイスに交換してくれるのはいいが、「サムスン電子のせいで不良が発生したのに、ユーザーがわざわざサービスセンターを訪問しないといけないのは不便」だと不満の声も出ている。

趙 章恩(チョウ チャンウン)
韓国ソウル生まれ。ITジャーナリスト。東京大学社会情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく解説する活動をしている。「日経ビジネス」、「日経Robotics」「ダイヤモンドオンライン」、「ニューズウィーク日本版」、「週刊エコノミスト」、「日本デジタルコンテンツ白書」などに寄稿。