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 またSKテレコムは保険会社と提携し、商品情報を画像や映像で見せながら通話できる機能も取り入れた。最近は店舗を持たずに電話とネットだけで販売する保険商品が増えていることから、ユーザーが電話相談する際にパソコンの前にいなくても、保険会社はユーザーのスマートフォンの画面にパンフレットを送信し、一緒に見ながら通話できる。

 賞金5000万ウォン(約500万円)をかけて、「通話しながらこういうことができたらいいのに」というアイデア募集もSKテレコムは実施している。

 一方、KTはゲームや動画を観ている途中に電話がかかってきても、ゲームを続けながら、または動画を観ながら通話できるサービスを始めた。

 今までは電話がかかってくるといったん画面が切り替わり、電話マークと相手の電話番号が表示された。KTの「ポップアップコール」サービスを利用すると、ゲームや動画を観ている途中で電話がかかってきても、小さいポップアップ画面で知らせてくれる。「ちょうどいいところだったのに!」と電話の相手を恨むこともなくなった。

 韓国の無料メッセージ・通話アプリKakaoTalkは、KakaoTalkの中でゲームやマンガといったコンテンツを販売し、ショッピングモールもある。KakaoTalkはユーザー同士でお金を送金できて、他のネットショッピングでも使えるモバイル決済までも提供する。キャリアがやっていたことを今はKakaoTalkが全てやっているので、このままではキャリアの収益はデータ通信利用料だけになってしまう。

 韓国のキャリアは無料メッセージアプリに対抗して、2012年にキャリア3社が「JOIN」というアプリを共同開発して提供したものの失敗した。無料メッセージアプリは、先行事業者が市場を占有すると人が人を呼ぶ形でロックイン効果が働くからだ(友達がみんなKakaoTalkを使っているので自分だけ新しいアプリに乗り換えられない)。

 そのため、最後の戦略として「通話品質」を強調し、通話しながらこんなこともできる、という付加サービスでユーザーを取り戻そうとしている。無料メッセージアプリから無料で音声通話もできるが、雑音が大きかったり、音声が遅れて届くので同時にしゃべってしまって会話が成り立たなかったりして、結局、電話をかけ直すということもたびたびあるからだ。

 キャリアも無料メッセージアプリも、加入者をたくさん集めて、それを基にショッピングや決済サービスといった付加サービスを提供して利益を上げようとしている。このため、KakaoTalkも負けていない。パソコンからも無料音声通話を利用できるようし、1対5のグループ通話機能やボイスチェンジャーなどの面白機能を追加した。LINEも決済機能や付加機能をどんどん追加して、LINEさえあれば何でも解決できるようにしようとしている。

趙章恩(チョウ・チャンウン)
ITジャーナリスト
趙章恩  高校卒業まで東京で育ち、韓国ソウルの大学卒業後、ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどに連載。著書「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー刊)「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送ってます。韓国情報通信部と傘下機関・IT企業の対日戦略リサーチ&コンサルティング、日韓IT視察を企画運営するJ&JNETWORKの代表であり、韓国で唯一、日本とのITビジネス交流を図る非営利団体JIBC(Japan Internet Buisiness Community)の会長を務めています。日韓両国で生活した経験を活かし、韓日のIT事情を比較解説する講師として、韓国の色んな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです。
 韓国はいつも活気溢れ、競争が激しい社会なので変化も早く、2~3ヵ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をするとなんだかきつそうな国~と思われがちですが、世話好きな人が多く、電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多く、マンションに住みながらもおいしいものが手に入ればおすそ分けするのが当たり前の人情の街です。みなさん、遊びに来てください!」