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 ある技術が進化することによって、他の技術との優劣などの関係が変化する。日ごろから、この関係変化に注目しています。次世代のシステムアーキテクチャーは、技術同士の関係が変化するときに生まれやすいからです。

 近年特に印象深かった関係変化は、ネットワークの伝送性能とハードディスクドライブ(HDD)の読み書き性能が逆転したことです。2000年代半ばにある大学の研究室を訪ねたとき、先生から「テンギガ」という言葉を聞きました。サーバーが搭載するネットワーク用インタフェースの伝送速度が、従来の毎秒1Gビットから10Gビットに変わったのでした。この変化によって、ネットワークの性能がHDDの性能を逆転しました。

 逆転現象の効果を、分かりやすく単純化してお話ししましょう。PCやサーバーが搭載するHDDの読み書き性能は、20年前から大きくは向上していません。一般的なHDDの性能は、20年前のもので毎秒50Mバイト程度。最近のものでも同150Mバイト程度です。1Gバイトのデータを読み書きする時間は7秒弱かかります。

 一方、同じ期間のネットワークの性能向上は桁違いです。1990年代前半は、サーバーのイーサネットインタフェースが毎秒10Mビットから同100Mビットに移行する時期でした。それが今やテンギガ。20年間で1000倍に向上したのです。

 10Gビットは1.25Gバイトに相当します。従って、あるサーバーから隣接するサーバーに1Gバイトのデータを毎秒10Gビットのネットワークで転送する処理の時間は、伝送遅延などを無視すれば0.8秒。HDDの8分の1で済みます。