2015年がやってきたからといって、いろいろなことがドラスティックに変化するわけではないことは分かっている。だが、世の中の動きに変化の兆しがあることは自明だ。そのカギとなるのがIoTだ。
年初に米ラスベガスで開催された家電関連のイベントCESでは、これからの10年、クルマの運転はもちろん、冷蔵庫を開閉したり、掃除機で部屋をきれいにしたり、部屋を快適な温度に保つためにエアコンを使ったり、レンジでものを温めるといった日常的な作業についてもセキュリティのことを考えなければならない時代の到来を実感することができた。
たとえば、今のインテルは、コンピュータと人間の対話について、新しい体験を提供することを前面に押し出そうとしている。その方向性を示唆するのがRealSenseテクノロジーだ。このデバイスはこれまでのWebカメラと変わらないように見えるが、これまでのカメラが二次元しか考えられなかった認識を三次元の認識に昇華させることで、人とコンピューターとの対話に革命を起こそうとしている。
セキュリティもタッチからジェスチャーへ
タッチの時代は、モニタ上のオブジェクトにさわるという新たな対話を可能にしたが、次の時代はさわってはいけないという。触る代わりに身振り手振りで意思を伝えるのだ。もちろん本人認証もこのテクノロジーがカバーする。
企業のセキュリティを確固たるものにするための重要なカギは今も昔もパスワードだ。管理する側は、長いパスワードであったり、頻繁にパスワードを変更することであったり、用途に応じてパスワードを切り替えるといったことをエンドユーザーに求めてきた。だが、そのパスワードを人間が記憶し、人間が入力しなければならないのでは、安全を確保するレベルに限界がある。インテルとマカフィーが提唱しようとしているTrue Keyテクノロジーなどは、その部分にメスを入れる新たな取り組みだ。
Windows 2003 Server のサポート切れまで、あと半年を切った。10年前のシステムとハードウエアでは、これからの新たなセキュリティを考慮するのは無理だということは自明だ。守るべきは今動いている環境ではなく、その中に置かれた企業データや知的財産なのだということを再認識するべきだろう。サポート切れは常に次がやってくる。たとえ、Windows 2003 Server を引退させることができたからといって安心している場合ではない。