山内:2015年には、小中生向けに「勉強サプリ」も開始されましたよね。こちらは、どういった経緯で立ち上げられたのでしょうか。
松尾:受験サプリを展開して、高校生向けにオンラインで学べるサービスを提供することが、ビジネス的にも成り立ちそうだということが見えてきました。そこで、小中学生にも対象を広げられないかの検討が始まりました。中野が中心になって、サービスを立ち上げました。
山内:小中学生を対象にする上で、どんなことを検討されましたか。「受験サプリのこの部分は使えるけど、ここは変えないといけない」などと悩まれたのではないかと思うのですが。
中野:松尾の話にもありましたが、高校3年生は大学受験という明確な目標があるので自分で勉強を続けられます。でも、一般的な小中学生にはそんなモチベーションやマイルストーンはありません。継続してもらうにはどうしたらよいかについて一番頭を悩ませました。
中野:どう学習を継続させるかは、教育事業者にとって永遠の悩みで、いまだ完全には解決されていません。ですから専門家の方に協力していただいて、過去の先行研究で何が分かっていて何が分かっていないのかを明らかにしました。また実際にユーザーに使ってもらわないと何がうけるのか分からないので、800人ほどのユーザーにベータ版を使ってもらいました。いわゆる「A/Bテスト」のようなものを実施して、その結果を基にサービスを改良していきました。
ただ、それでは自分たちが作ったものを試せるだけで、新たな発見はできません。そこで、800人のユーザーでオンラインのコミュニティを作って「どんなコンテンツが必要か」「どんな提供方法なら続けやすいか」といったことを聞き取りました。
山内:今、さらっと話されましたが、これはなかなかできることではないと思います。この段階で、相当お金を掛けていますよね。普通はそんな余裕がないので、「えいや」で安く速くサービスを立ち上げるケースも珍しくありません。その結果、小中学生向けサービスにはひどい失敗をするものもあります。でも勉強サプリは、ここに手間を掛けられたんですね。