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 社内外で積極的にハッカソンを開催している富士通は、その運営ノウハウをまとめている。2014年に約10回のハッカソンを運営した同社の事務局が、独自にまとめた運営術を解説する。STEP1は「目的の設定」だ。適切な目的を設定することで、多様なステークホルダーを巻き込み、効果を高める(本誌)。

 ハッカソンでは多様なステークホルダーを巻き込むことで、より良いアウトプットが生まれます。そのためには、「なぜハッカソンを開催するのか?」という本質的な狙いをステークホルダーに説明し、賛同を得ながら、進めていくことが必要です。

 ここでは私たちが考えるハッカソンの目的設定の大切さと、どのようにステークホルダーを巻き込むのか、そして、ハッカソン開催後も見据えたテーマオーナーの選定と交渉の仕方を解説します。併せて、最適なハッカソン開催形態の選択や、実施内容を改善するために必要な評価指標についてもご紹介します。

大きな目的を設定することが大切

 「新事業の創出」「社会課題の解決」「特定の技術/サービスのプロモーション」「教育/研修」など、ハッカソンには様々な効果が期待できます。いろいろな効果がある中で、なぜ自社でハッカソンを開催するのか?という根本的な狙いを明示することは不可欠です。この根本的な狙いが、その後の全ての工程に影響します。

 社内には「ハッカソンって何?」という人も多いと思います。抵抗感を示す人もいるでしょう。社内外の多くの関係者を巻き込み、自社の変革を進めていくには、積極的に推進する人たちだけでなく、やや消極的な人たちにも理解しやすく興味を持ってもらえるような目的を設定し、大枠で合意を得ていく必要があります。それは共創の文化そのものを社内に作っていく取り組みでもあります。

 例えば、私たちが2014年4月に実施した「さくらハッカソン」では、東日本大震災以降に交流人口が減少した東北地方に対して、さくらを通じて観光客を呼び寄せ、地元の人たちとの交流を促していこうという、社会課題の解決を目的に設定しました。このような社会課題に対しては、自社だけで解決できることが少ないため、私たちは社外の人たちを巻き込んで、オープンなハッカソンを開催することにしました。

 このときの目的設定について、異なる分野の専門家が協力し合う新しいモノづくりの在り方を研究されている情報科学芸術大学院大学の小林茂教授から「特定の技術の活用を前提としなかったことが良かった」とコメントをいただきました(6ページ目に別掲記事:「さくらハッカソン」はテーマ設定が絶妙だった)。