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 格安SIMはスマートフォン(スマホ)やパソコンに挿して使う「移動体通信」だけが用途ではない。光ファイバーの代わりに「固定通信」で使う事例も増えている。

 今回は特集の最終話として格安SIMを生かした企業WAN(広域ネットワーク)の設計について述べる。

この2年で格段にLTEが強くなったドコモ系MVNO

 筆者は2008年から無線回線を固定通信の用途に使っている。当時はイー・モバイルの3G(第3世代携帯電話)スティック型端末をルーターに挿入して使用した。用途はメーン回線のバックアップである。

 モバイルを固定通信で使うことは今に始まったことではないのだが、LTEのエリアが広がりかつ「電波が強く」なった結果、LTEをバックアップでなくメーン回線として利用できる環境が整ってきた。

 MVNO(仮想移動体通信事業者)のほとんどがLTEサービスインフラとして使っているNTTドコモは、順次使用する周波数帯の拡大と基地局の増設を進めてきた。開始当初の2010年12月から2012年10月までは2GHz帯(Band1)だけのサービスだったが、2012年11月から800MHz帯(Band19)と1.5GHz(Band21)のサービスを開始。2013年9月からは1.7GHz帯(Band3)を東名阪エリアで開始した。

 さらに2015年1月から700MHz帯(Band28)でのサービスを開始する予定だった。しかしこの周波数帯を使用しているラジオマイクなどの移行が遅れているため2015年3月現在、このBandは使われていない。

 人口カバー率と設置局数は2013年3月末75%(約2万4400局)、2014年3月末97.5%(約5万5300局)、2015年3月末100%(約9万5300局、目標)となっている。

 NTTドコモは電波使用ポリシーとして、四つのBandを使うQUAD-BAND戦略を取っている。Band1とBand19で広くエリアをカバーし、ユーザー数が多く電波が足りないところはBand3、Band21を重ねて使うという戦略だ。

 このような使用Bandの拡充と基地局の増設による効果は、実際のネットワークの現場にはっきりと表れている。2012年にドコモ系の大手MVNOが提供するLTEを固定通信で使った実績を数100件調べたところ、LTEを使えた拠点は全体の約85%だった。当時は2GHzだけの端末であったため、新宿や秋葉原といったユーザー密度の高いところでつながりにくい状況があった。