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 メッセンジャーアプリ「LINE」を提供するLINE社は2017年6月15日、LINEの戦略発表イベント「LINE CONFERENCE 2017」を開いた。クラウドAIプラットフォーム「Clova」に関する発表が相次いだことで注目されたが、同社の戦略を見るうえでより大きなポイントとなるのは、LINEが他のアプリを必要としない「アプリレス」な環境を作り上げようとしていることだ。

クラウドAI「Clova」で相次ぎ提携

 日本のスマートフォン向けメッセンジャーアプリでは事実上標準の位置を獲得したLINE。そのLINEを提供するLINE社は昨年上場を果たしたが、一方で従来のLINEの利用規模を世界的に拡大する戦略から、日本をはじめLINEが広く普及している4ヵ国に集中し、スマートポータル戦略を打ち出しLINEのポータル化を推し進めるなど、方針を大きく転換。さらに最近では「LINEモバイル」でMVNOによるモバイル通信事業に本格参入し、話題となるなど大きな動きを相次いで見せている。

 そのLINEが6月15日、約1年ぶりに事業戦略イベント「LINE CONFERENCE 2017」を開催。LINE社の新たなビジョンや戦略について多くの発表がなされた。中でも特に注目されたのが、クラウドAIプラットフォームの「Clova」に関する取り組みである。

 ClovaはLINE社と親会社の韓国NAVERが共同で開発しているクラウドAIプラットフォームで、2017年2月にスペインで実施されたMobile World Congressで発表した。今回のイベントでは、そのClovaを搭載した第1弾のデバイスとなるスマートスピーカー「WAVE」が、今秋に正式発売されると発表。他にも「CHAMP」「FACE」など、新たなClova搭載デバイスの投入が予定されていることが明らかにされた。

LINEが正式に発売を発表したスマートスピーカー「WAVE」。NAVERと共同開発したクラウドAI「Clova」を使い、話しかけることでLINE MUSICの楽曲再生などができる。写真は6月15日のLINE CONFERENCE 2017より(筆者撮影)
LINEが正式に発売を発表したスマートスピーカー「WAVE」。NAVERと共同開発したクラウドAI「Clova」を使い、話しかけることでLINE MUSICの楽曲再生などができる。写真は6月15日のLINE CONFERENCE 2017より(筆者撮影)
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 より大きな驚きをもたらしたのが、Clovaに関する新たな企業提携だ。LINE社は今回、新たにヤマハ、トヨタ自動車、そして伊藤忠商事、ファミリーマートといった国内の大手企業と、Clovaで協業すると明らかにした。LINE社は既にソニーモバイルコミュニケーションズやLGエレクトロニクス、タカラトミーなどいくつかの企業とClova搭載デバイスの共同開発を進めている。

LINE社はトヨタ自動車などの国内大手企業とClovaの活用で協業を進めると発表。米IT大手の進出前に、クラウドAIでいち早く国内市場を押さえる戦略のようだ。写真は6月15日のLINE CONFERENCE 2017より(筆者撮影)
LINE社はトヨタ自動車などの国内大手企業とClovaの活用で協業を進めると発表。米IT大手の進出前に、クラウドAIでいち早く国内市場を押さえる戦略のようだ。写真は6月15日のLINE CONFERENCE 2017より(筆者撮影)
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 アマゾンの「Alexa」やグーグルの「Googleアシスタント」などに代表されるように、クラウドAIプラットフォームは米国のIT大手がいま最も力を入れている分野の1つでもある。だが言語や文化の壁などもあって、米国など英語圏以外への進出があまり進んでいないのが現状だ。

 それだけにLINE社はIT大手に先駆けて日本の大手企業と積極的に手を組み、Clovaをいち早く普及させることで日本での足掛かりを作る狙いがあると言える。またNAVERが韓国への積極展開を図っているほか、日本・韓国の次には、LINEが広く普及している東南アジア諸国へと利用を広める考えがあるとのこと。NAVERグループが持つリソースを結集することにより、アジアでの地盤固めを進める狙いがあるといえそうだ。