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 前回まではシステムの内容が中心でしたが、「分析で価値を出していく」という観点では、ここからが本番です。

 私は企業の担当者から、「データや分析ツールがそろったとしても、何をどう分析すればいいか分からない」「分析できる人材がいない」「どう育成していいか分からない」といった相談を頻繁に受けます。確かに、データ分析で価値を出すためには、一定のスキル、お作法が必要になります。

 ここで声を大にしてお伝えしたいのは「企業で必要とする分析の8割に、高度なスキルはまったく必要ない」ということです。

 例えば、数学的なスキルでいえば、分析の8割は「小学生レベルの算数+α」でできます。他社の著名なデータサイエンティストの方とも話しましたが、全くの同意見でした。

 では具体的に、分析を担うデータエンジニアにはどのようなスキルが、どのレベルまで必要になるのか、説明します。

分析で価値を生み出すのに必要なスキルとは

 データエンジニアに必要なスキルや方法論を図1に整理しました。大まかにいえば、分析で価値を出すためには、組織を動かす力(=正しい道を進ませる力)と、問題解決力(=正しい道を指し示す力)が求められます。

図1●データエンジニアが分析で価値を出すために必要なスキル/行動
図1●データエンジニアが分析で価値を出すために必要なスキル/行動
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 ここで何より重要なのは、成果の大きさは、この2つの「掛け算」で決まるということです。組織が動いたとしても、間違った方向に動かしてしまえば、悲惨な結果が待ち受けています。また、いくら正しい解を見つけたとしても、組織が動かなければ、まさに絵に描いた餅になってしまいます。

 「問題解決力」というと何だか身につけるのが大変そうに思えますが、実は最低限必要なレベルであれば、そんなに難しいものではありません。一方、「組織を動かす力」を身につけるのは確かに大変ですが、おさえておくと非常に役に立つ方法論が一つあります。最初に、この「組織を動かす力」から解説します。

まず「クイックヒット」を打て

 組織を動かすには、複数のスキル、力を組み合わせる必要があります。図1のように「ドライなスキル」と「ウェットなスキル」に分かれます。

 このうちウェットなスキルは、会社ごとに社内文化も方法論も違う上、文字にするのはなかなか困難です。そこで今回はドライな部分、中でも他ではほとんど触れられていないスキル、すなわち「クイックヒットを打つ」ことに絞ってノウハウをお伝えします。

 データ分析の結果を元に、事業部門のメンバーや経営陣を動かすには、何が必要でしょうか。それには分析の中身自体も正しい必要があるのはもちろんですが、何より周囲から「あなたの言っていることは信頼できる」と思ってもらえていることが重要です。

 そのためには、成果が小さくても「あなたの言った通りに動いたら、確かに成果が出た」という実績を積み重ねることが重要です。また、新たな取組みを始める際は、特に最初の結果が信頼を醸成する上では大きな意味を持ってきます。

 したがって、分析チームを新たに立ち上げたのであれば、大きくなくてもかまわないので、短期間できっちり結果を出すことが組織を動かす上では必要不可欠です。ここではクイックヒットを打つ、と呼びましょう。