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 システム部のフロアでは、データ管理担当の徳田が、相変わらず不機嫌そうにキーボードを叩いています。

徳田「まったく、事業部の連中はろくに考えもせず、あやふやな依頼ばかりだ…」

佐藤「徳田さん、ちょっとお願いがあるのですが」

徳田「(また来た)何ですか?」

佐藤「お客様別のデータが欲しくて…」

徳田「(やれやれ、藤牧主任に続き、今日はこんなのばかりだ…)あの、そういうデータは量が膨大でExcelでは使えないんですよね」

佐藤「いや、お客様別といっても、各店舗の年齢構成比を月次で3年分欲しいだけなんですよ。(E)Excelでも大量のデータをピボットテーブルで集計することはできますし、年齢は1歳刻みで60分類×100店舗×36カ月だから、Excelのファイルに収まりますよね

徳田「(ほう、藤牧主任よりまともだな)ああ、確かにそれならExcelに収まります。でも、あまり意味があるデータとはいえませんよ」

佐藤「なぜですか?」

徳田「顧客の年齢は、ポイントカードの登録データから引き出すんですが、うちのポイントカードは発行時に、ほとんど年齢確認をしていません。ちょっと若く見られたい主婦が多いので、自己申告の年齢データはあてになりませんよ。正しいデータが欲しいなら、クレジットカードのデータと照合する必要がありますが、個人情報保護の観点もあり、時間と手間がものすごくかかるんですよ…。諦めてもらえませんか」

佐藤「なるほど。ポイントカードの登録年齢を正しく入力している顧客は、どれくらいいるんでしょうか」

徳田「以前、クレジットカードの情報と照合した際は、大体80%くらいでしたね」

佐藤「なるほど。(E)サバを読むといっても2~3歳くらいでしょうから、年齢を10代刻みで分析すれば、分析結果への影響はほとんどないでしょう。それで十分です」

徳田「(それは確かにそうだな)分かりました。では、データを出力しておきます」

 佐藤主任が自席に戻ると、徳田からデータが届いていました。

佐藤「どれどれ、横軸に顧客のシニア比率、縦軸に高級魚の売上高比率をプロットすると…やはりシニアの構成比が高い店舗ほど、売り上げが伸びているな。だとすると、シニアの構成比が高い店舗は高級魚や、シニアの『ちょい高消費』向けの商品を拡充すれば、売り上げが伸びそうだ」

 さらにここ3年のデータから、ほとんどの店舗でシニアの構成比が上がっていることが見えてきました。

佐藤「これで1つ、社長に打ち手を提案できそうだ」。

 順調に分析を進める佐藤主任でしたが、まだ心に引っかかるものがありました。

佐藤「だいぶ答えは見えてきたけど、何か引っかかるんだよな。今まで見てきたなかで、大事なことを忘れているような…」

 さて、いかがでしたでしょうか。答えにだいぶ近づいてきたかに見える佐藤主任ですが、実は一つ、大きな問題が隠れています。

 それは「答えにたどり着けても、最初の課題設定が間違っていれば意味がない」ということです。次はこの点について、佐藤主任の取った行動から説明したいと思います。