では、「どんな策を実施すべきか」という着地点を想定するためには、何が必要か。それが、冒頭に挙げた現場感覚です。
データエンジニアには、分析対象の業務を自ら担当した経験か、あるいは最低でも「現場の担当者と対等に議論できるだけの業務知識」が求められます。業務知識のない人にデータを渡しても、有効な打ち手は出てきません。
加えて、打ち手の多くは何らかの副作用を伴います。例えば、ある商品の割合を増やせば、別の商品の割合は減ります。その打ち手がもたらす副作用に気づき、対策を講じられるだけの現場感覚があれば、なお良いでしょう。
現場感覚を習得するには、もし分析対象の事業について実務経験があるなら、分析の前に必要に応じて現場に足を運ぶことです。もし実務経験がなければ、まず現場で働いてみることです。
筆者もすかいらーくに入社した際は、まず店舗でアルバイトと並んで働き、店舗でのオペレーション、つまり現場の業務を学びました。現場で働けば、顧客の声を直接聞くことができ、これも顧客のセグメント分析などに非常に役に立ちます。
なぜ?を繰り返して原因を深掘り
企業が抱える問題を解くには、多様かつ大量の情報を処理する必要があります。目の前の情報に埋もれることなく整理し、答えにたどり着くために必要なのが、(B)ロジカルシンキングです。
データエンジニアに求められるロジカルシンキングの最低水準は「打ち手をすぐに思いつけるくらいに、問題の原因をしっかりと深堀りできること」。そのためには、「なぜ?という問いを、論理的な飛躍なく、打ち手が思いつけるまで繰り返せること」が必要です。
例えば小売業であれば、売り上げが減少しているなら「なぜ売り上げが減少しているのか?」と問いを立てます。分析の結果、地方の店舗の売り上げが下がっているからだと分かれば「なぜ地方の売り上げが下がっている?」と考えます。