さらに深掘りして分析すれば、地方の低迷は、主力顧客層である若者・中年層の割合が大きく下がっていることが原因と分かります。ここでさらに「なぜ我々の店舗は若者・中年層が主力顧客層なのか?」と問いを立てます。
この問いに沿って分析すると、「高齢層は遠出の機会が少なく、近場の店舗で買い物をすることが多いからだ」という要因が見えてきます。ここまでくれば「遠出ができない高齢層には、こちらから届ける手があるのでは」などの打ち手を思いつけるでしょう。
この例の最後で「遠出の機会がない」という理由を導くためには、「年齢層別の非購買理由アンケート調査」をする必要がありますが、その調査を適切に行うためには、論理的に漏れ、ダブりのない形(いわゆるMECEと呼ばれるものです)で考えることが必要です。
例えばこの例では、商品を買ってもらうために必要な要素は「商品(Product)」「価格(Price)」「場所(Place)」「広告宣伝/販促(Promotion)」「接客(People)」ですべてです。その五つの要素を調査票にまとめることで、「買わなかった理由」について漏れなく、ダブりなく分析できます。
では、データエンジニアとして最低限のロジカルシンキング力を身につけるには、どうすればいいか。予算があればロジカルシンキングの研修に参加し、ケーススタディをもとに実習するのが近道ですが、書籍で独学するだけでも十分です。
筆者が個人的にお薦めするのはバーバラ・ミント氏の「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」です。ワークブックもあり、これを完了すればデータ分析に必要な最低レベルの力が身につくでしょう。
社長と同じ視座に立ってみる
(C)論点/課題設定の重要性については、前回(第4回)の特売スーパーの事例で説明したので、ここでは多く繰り返しません。いくら課題を解くロジカルシンキング力に優れていても、課題そのものが間違っていれば、会社にとってむしろ有害な結果をもたらします。