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ベンチャーキャピタル(VC)業界についてはどう見ていますか。

藤田 IVPやグロービス・キャピタル・パートナーズ、WiLなど、過去と比べると本当にいいVCが出てきています。投資には人気投票みたいな側面があります。集まるところには集まるし、そして集まるところが伸びていきます。ブランドイメージの良いVCが出てきているのは非常に良い傾向でしょう。

 逆に言えば、そこから外れたところでキラッと光る会社を見つけようとするのはあまり意味がない。誰も投資しない会社が投資で化けるということはほとんどない。皆が注目している会社はメディアも取り上げ、結局お金も人も集まりやすくなっていきます。そういう意味では、“村”とも言える集まりに入り込めているVCとそうでないVCで差が出てきています。

 シリコンバレーでも同じようなことが起きていて、どこ出身の誰が投資した会社というだけで、人も資金も集まる。そうすると共同幻想のようにみんなが投資していき、最終的にそこまで伸びなかったということもありますが、そういう輪に入っていないとそもそも厳しい。

 起業家とは孤独な存在です。僕は付き合いばかり重視し、なれ合っているだけの起業家は好きではないですが、やはり輪に入る努力はし続けておかないといけないと思います。

後に続く起業家にアドバイスをいただけますか。

藤田 僕らのときは起業するということは一大事でした。覚悟を決め、リスクを背負い、悲壮感が漂う人がたくさんいました。その後、「大変じゃないよ」「大丈夫だよ」という風潮が広がり、そして今、逆に起業を簡単に考え過ぎている気がします。

 起業家は人の人生を預かり、人の資金を預かります。会社がうまくいかなかったときに、自分だけでなく周りを巻き込んで不幸になります。だからこそ起業家はがむしゃらに働くのですが、今の風潮を見ているとそうした現実から目を背けている人が多い気がしています。悲壮感を漂わせろといっているわけではありません。ただ、バランスを崩していることを懸念しているのです。起業、そしてその後、成功するのは思うほど簡単なことではありません。経済産業省の「日本ベンチャー大賞」に内閣総理大臣賞が設けられるなど政府も企業の支援を打ち出し、起業家にとっては良い環境であることに違いありません。大きな目標をかかげ、現実と孤独に向き合い、水の張った洗面器から顔を上げないよう歯をくいしばるような忍耐で頑張ってほしいです。

撮影:陶山 勉
撮影:陶山 勉

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