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 シリコンバレーの話題ではないが、2015年6月17日から19日までスペイン・バルセロナで開かれた「GEN(Global Editors Network) Summit 2015」という会議に一部参加した。

 GEN Summitは、今年で5回目を迎えるジャーナリストや編集者の国際会議で、メディアの領域で起こっている変化についてセッションが開かれる。特に新しいテクノロジーやアプリケーションについて発表されることが多く、メディアの世界も刻々と変化していると実感できる内容が多い。

 もうしばらく前から新聞や雑誌の危機が叫ばれているのだが、こういう会議に来るとメディア領域で新しいサービスやアプリケーションの開発をする人々がかなりたくさんいるのに驚かされる。メディアが滅びる業界ならば誰も見向きしないだろうから、やはり従来の新聞や雑誌の「ビジネス(運営方法)」は再考が迫られていても、メディア自体は不滅で、形を変えて生き延びていくのだと感じられる。それだけに、新聞や雑誌社の人々は新しい動きを感知しようと必死だ。

新しい技術に貪欲な米国メディア

 特にアメリカでの既存メディアは、新技術の取り込みに非常に熱心で、読者も一緒に付き合わされている感がある。有名な「New York Times」紙を取っても、ビジネス面ではオンライン版が無料で公開されたり、途中で有料になったりと何度も料金設定が変わっている。それでも読者は文句も言わずに、そのつど自分に合った選択肢を選んでいる。

 また、データやインタラクティブ性など、デジタルの力を借りて面白い効果を狙った記事作りがいくつも見られる一方で、ソーシャル・ネットワークの使い方に、力を入れている事業者と、そうでない事業者の違いがあったりする。「Facebook」や「Twitter」対策まではどの事業者もしっかりやっているが、写真共有サービスの「Instagram」「Pinterest」などになると、事業者の取り組みも不ぞろいな感じになる。