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 デジタル時代における市民権の拡大を目的に1990年に設立された非営利組織、米Electronic Frontier Foundation(電子フロンティア財団、EFF)が創設25周年を迎えた。EFFは言論の自由や個人のプライバシー、イノベーションを保護するために活動してきたアクティビスト団体だ。

 アクティビストと言うと急進的なイメージがあるかもしれないが、米国のインターネットはEFFのおかげで国家や企業による過剰な管理を逃れてきた。それだけでなく、個人の権利を守るための新しい規制もEFFの呼びかけによって生まれてきた。EFFは、テクノロジーやインターネットの恩恵を一般の市民が十分に享受できるよう、先頭を切って活動してきた。その功績はとても大きい。

デジタル世界におけるプライバシー保護に尽力

 EFFが誕生したきっかけは、テキサス州にあるSteve Jackson Gamesという「ゲームブック」(読者の選択によってストーリーの展開や結末が変わる、ゲームとして遊べる小説本)を発行する会社が、米国で大統領の警護のほかに特別捜査も担当する「シークレットサービス」)によって家宅捜索を受けたことだった。

 当時、緊急電話「911(日本の110にあたる番号)」のシステムの詳細を記述したドキュメントが、米BellSouth(現在の米AT&T)のコンピュータから違法にコピーされてパソコン通信などで出回っており、シークレットサービスはハッカーらを取り締まろうと動き出していた。

 Steve Jackson Gamesは緊急電話システムのドキュメントを流通させたという容疑でシークレットサービスの家宅捜査を受けた。シークレットサービスは、同社のコンピュータなど全てのデジタル機器を押収しただけでなく、出版間近のゲームブックの原稿まで押収してしまった。

 これによって同社は、ゲームブックを出版できなくなり、経営難に陥って社員を解雇するなどの憂き目に遭った。その後、疑いが晴れてコンピュータは返却されたものの、同社の社員と顧客がやり取りしていた「電子掲示板」(当時のパソコン通信の基本的なシステム)のデータがシークレットサービスにチェックされ、その内容が削除されていたことが分かった。

 大きな打撃を被ったのにも関わらず、Steve Jackson Gamesはこの理不尽さについて相談する組織を見つけることができなかった。デジタル空間やテクノロジーを熟知する弁護士がいなかったからだ。

 EFFはこの窮状を救うために組織された。共同創設者は3人。表計算ソフト「Lotus 1-2-3」の開発者として知られるMitchell Kapor氏、1960~80年代に人気を誇ったサイケデリックバンドのグレイトフルデッドの作詞家を務めたJohn Perry Barlow氏、そして米Sun Microsystems(後に米Oracleが買収)の初期の社員だったJohn Gilmore氏だ。