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 商品棚の中身を入れ替える際には、コントローラーをクリックして、入れ替えたい商品に光を当てる。そうして選んだ商品を持ち上げて移動させたり、ただ消滅させたりできるのだが、これがほとんどゲーム感覚だ。

 棚にない商品はデータベースにあるので、画面中に商品リストを表示してその中にある商品を選んで、それをコントローラーを使って棚に収める。同じ商品を何十と並べるのも、同じ操作をコピー&ペーストの要領で繰り返すだけなのであっという間だ。いつまでも仕事をしていたくなるほどの面白さを感じた。

リアルな3Dモデルで臨場感アップ

 アメリカのスーパーには、すさまじい種類の商品が並んでいる。朝食用のシリアルならば、軽く100を超える商品が並んでいるものだ。歯磨きの種類も同じくらいある。こうした商品の3D(3次元)モデルのデータを作る会社があり、InContextはそれを利用している。パッケージの色や絵も本物とそっくりなので、バーチャル空間もぐっと現実感が増す。

 この技術では、棚自体の配置も簡単に動かせるので、スーパーの模様替えもバーチャル空間でシミュレーションできる。またスーパーやドラッグストアだけでなく、カフェやレストランの店内、書店などもこの技術が使えるという。

 VRを使った建物の設計や室内のインテリアデザインなどは知っていたが、日常的に目にする細々とした商品までバーチャル空間に再現し、操作可能になっているとは驚きだった。ゲームかままごとかのように勘違いしそうだが、真面目で有望な技術なのである。

瀧口 範子
フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)、訳書に『ソフトウェアの達人たち: 認知科学からのアプローチ(テリー・ウィノグラード編著/Bringing Design to Software)』(ピアソンエデュケーション刊)、『ピーター・ライス自伝』(鹿島出版会・共訳))がある。上智大学外国学部ドイツ語学科卒業。1996-98 年にフルブライト奨学生として(ジャーナリスト・プログラム)、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科にて客員研究員。