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 世界のIT市場は急速にクラウドコンピューティングへと動いています。その兆候は海外のITハードメーカーの苦戦に端的に現れています。16四半期連続で減収を続ける米IBMはその象徴でしょう。パブリッククラウドやプライベートクラウドの需要が伸びれば伸びるほど、自社ハードウエア製品の需要が縮小しているのです。

 ところが日本に目を向けると様相が異なります。アメリカと同様にハードメーカーが苦境に直面しているかと思いきやそうでもない。絶好調とまでは言えないまでもまぁまぁ好調なのです。なぜそんなことが起こるのか? 前から不思議に思っていたのですが、その理由の一端を先日、耳にしました。

 そもそもクラウドの伸張がハードメーカーを苦境に追い込むのは、ハードをメーカーから買う顧客がいなくなるからです。

 自前のプライベートクラウドを構築したユーザー企業はハードウエアを効率的に使えるようになっています。例えばストレージ。これまでアプリケーションごとに手当てしていたストレージを一つのストレージプールとして運用する。これで10Tバイトを10台購入していたのが30Tバイトを1台で済みます。サーバーも複数のアプリケーションサーバーやデータベースサーバーを、仮想化技術で1台にまとめられます。

 Amazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドを導入すればサーバーもストレージも購入しなくてよくなります。こうしたユーザー企業も増えています。しかしパブリッククラウドを運営する企業もハードウエア製品を購入しません。

 AWSを運営する米アマゾン・ドット・コム、「Microsoft Azure」の米マイクロソフト、米グーグルなどの企業はもはやハードウエア製品を米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のようなメーカーから買いません。自分で設計し、中国などにある組み立て工場に発注して製造させます。CPUは米インテルから、ハードディスク装置は米シーゲート・テクノロジーなどから、メモリーやフラッシュメモリーは韓国サムスン電子や東芝などから部品として直接購入します。