「FacebookもNetflixも、クラウド時代に成長するIT企業はソフトウエア投資にしのぎを削っている。これからのクラウド時代、ITベンダーは自前でソフトを開発していかなければ生き残れない。」
あるセミナーでそう訴えていたところ、会場から質問を受けました。

「自前でソフトウエア投資をしていくには、どういうソフトが世の中へ受け入れられるのかを考える必要があります。世の中へ受け入れられるソフトを作るにはどうしたらいいか、講師のお考えを聞かせていただけますか?」
その質問はないだろう? 私は耳を疑いました。
世の中へ受け入れられないソフトウエアなど開発したところで何の役にも立ちません。そして、ソフトウエア開発に携わる人間なら誰しも、どうしたら世の中へ受け入れられるかを、昼夜の別なく考えているに違いないからです。
仮にこの質問者が、開発したソフトウエアが世の中へ受け入れられるかどうかを、これまで考えたことがないのだとしたら、それはいったいどういうことなのか?
受託開発が中心で自前のソフトを開発してこなかったとしても、顧客に発注されたソフトウエアが「世の中へ受け入れられるかどうか」を考えもしなかったのでしょうか。どうもこの辺りに、国内の受託ソフトウエア開発の根本的な問題点がありそうな気がします。