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 マイクロソフトは2016年3月に、WindowsパソコンでLinuxのBashシェルやLinux用プログラムを利用可能にする「Windows Subsystem for Linux(WSL)」を発表した。これはWindows上でLinuxディストリビューションのUbuntuを稼働する仕組みだった。

 今回さらに、2017年秋にリリースするWindows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update」で、UbuntuだけでなくSUSEとFedoraも利用可能にすることや、WSLの仕組みをWindows Serverに搭載することを明らかにした。

 マイクロソフトがLinuxを優遇するのは、コンテナ管理ソフトウエアDockerの重要性が高まっているためだ。同社は2016年に発売したWindows Server 2016でDockerコンテナを利用可能にしたが、Dockerのコンテナイメージを作成するツールなどはLinux用がほとんどだ。それらをWindows上でも使えるようにしなければ、「クラウドネイティブ」と呼ばれるDockerコンテナを核としたクラウド向けの新しいアプリケーション開発の流れにWindowsが追従できなくなる恐れがあった。

「Azure Fabric」でDockerコンテナを管理

 Build 2017では、Azureのシステム管理基盤「Azure Service Fabric」を使ってDockerコンテナを運用管理できるようになると発表した。これまでAzureでDockerコンテナを運用するためには、米グーグルが開発を主導するオープンソースソフトウエア(OSS)のコンテナオーケストレーターである「Kubernetes」や、同じくOSSのオーケストレーターである「Apache Mesos」をベースにした商用版「DC/OS」を使用する必要があった。

 マイクロソフトの純正オーケストレーターであるAzure Service FabricでDockerコンテナを運用するメリットは、統合開発環境のVisual Studioとの連携である。

 マイクロソフトは今回、「Docker Compose support for Service Fabric」というツールも発表した。このツールを使うと、ソフトウエア開発者はDockerコンテナベースのアプリケーションをVisual Studioの画面からAzure Service Fabricにデプロイ(展開)したり、Visual Studioを使ってDockerコンテナベースのアプリケーションをデバッグしたりできるようになる。

 ナデラCEOはBuild 2017で「サーバーレス」もしきりに強調した。ここで言うサーバーレスとは、Azureのイベント駆動型コード実行機能である「Azure Functions」を使ってアプリケーションを開発することだ。

 ナデラCEOが言うインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジはシステムが配置される場所のことを指す。これからのシステムが備えるべき特徴として、「マルチデバイス」「人工知能」「サーバーレス」の三つを挙げるほどだった。サーバーレスはAI並みに重要だというメッセージだ。

 ソフトウエア開発者はWindowsもLinuxも意識せず、これからはAzureだけを意識して欲しい──。サーバーレスを連呼するナデラCEOの意図は、こんなところにあるのかもしれない。