PR

 Microsoft Azureにおける「マイクロサービス」の運用管理プラットフォームである「Azure Service Fabric」も、今回からLinuxの「コンテナ」に正式に対応した。Azure Service Fabricを使うと、システムの負荷に応じたコンテナの数の増減や、障害発生時のフェールオーバーなどが自動化される。

既存システムをコンテナにカプセル化してAzureへ移行

 Azure Service FabricにおけるLinux対応の狙いは、ユーザー企業がオンプレミス環境で稼働している既存のシステムを、Microsoft Azureにスムーズに移行させることにある。ユーザー企業の既存システムでは、Windows Serverだけでなく様々なディストリビューションのLinuxが稼働している。こうしたシステムをコンテナ仮想化によってカプセル化し、コンテナをMicrosoft Azure上に持ってくるだけで、システムのクラウド移行が完了できるようにする(写真3)。

写真3●コンテナを使った既存システムのクラウド移行シナリオ
写真3●コンテナを使った既存システムのクラウド移行シナリオ
[画像のクリックで拡大表示]

 Microsoftは今回、クラウド移行を支援するサービスとして「Azure Migrate」を発表している。オンプレミスのシステム環境を調査し、サーバー間の相互依存関係などを割り出し、Microsoft Azureへの移行プランをユーザー企業に提示する。

 またオンプレミスのSQL Serverを、クラウドの「Azure SQL Database」へと迅速に移行する「Azure Database Migration Service」も発表している。Guthrie氏はDBをオンプレミスからクラウドに移行する際のダウンタイムが「ほぼゼロになる」と説明する。

 「企業のクラウド利用は『セカンドウェーブ』に突入した。従来のような開発・テスト環境としてではなく、ミッションクリティカルの基幹システムにAzureを採用するユーザー企業が増えている」。Zander氏はそう強調する。開発・テスト環境ではなく、いわゆる「本番環境」のMicrosoft Azureへの移行をMicrosoftとしても現在、最も重視しているということだ。

 そのためにWindowsにこだわるのではなく、必要とあればLinuxにもどん欲に取り組む姿勢を見せている。Windowsの会社からクラウドの会社へと、Microsoftが大きく変わろうとしている。