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 今年に入り、多数の衛星で世界全体を覆う通信衛星システム――通信衛星コンステレーションを巡る動きが活発になってきている。まず1月16日に、米宇宙ベンチャーの雄である米スペースXは4000機もの小型通信衛星を打ち上げて、地球上のどの地点からもインターネットへのアクセスを可能にする計画を発表した。2020年までに第一段階の軌道上システムを構築。最終的に2030年に完全なシステムとして完成させるとしている。

 これとは別に、以前から700機規模の小型通信衛星コンステレーションで全地球規模のネットアクセスを実現しようとしている米ワンウェブがほぼ時期を同じくして、ヴァージン・グループと通信用半導体大手のクアルコムからの出資を受けると発表した。この発表の4日後の1月20日に、スペースXに対して、検索大手のグーグルと投資大手のフィディリティが投資するとの報道があった。

 なぜ今、多数の衛星を使用したネットインフラなのか。なにしろ、この分野は前世紀末から死屍累々の、極めて難しいビジネスなのだ。

 彼らの狙いはどこにあるのか、4回に分けて考えていくことにする。

 英語でコンステレーション(constellation)は「星座」という意味だ。が、宇宙分野では「Satellites constellation」のことを意味することが多い。衛星の星座――文字通り1つの目的のために多数の衛星が共同するシステムのことだ。

 現在、最も大規模な通信衛星コンステレーションは、66機の衛星で構成される衛星電話システム「イリジウム」だ。他にも48機の衛星を使う「グローバルスター」、30機の小型通信衛星で低速データ通信サービスを提供する「オーブコム」といったサービスが稼働している。

 とはいえ、これまでの通信衛星コンステレーションの実績は、決して褒められたものではない。

 イリジウムは、地上の携帯電話で大成功した米モトローラが「携帯電話の次の一手」として立ち上げ、そのためにの事業会社イリジウムを設立して1998年11月からサービスを開始した。ところが事業は低迷し、事業開始から1年もたたないうちに米連邦破産法11条(チャプター11)に基づく破産を申請することになってしまった。それだけではなく、オーブコムも2000年に、そしてグローバルスターもまた2002年にチャプター11による倒産を経験している。

多数の衛星で地球全体をカバーする

 通常、衛星を使った遠距離通信では、赤道上空3万6000kmの静止軌道に衛星を打ち上げる。静止軌道上の衛星は地表から空の一点に静止したように見えるので、受信のために可動式アンテナで衛星を追尾する必要がない。家庭に入っているBSやスカパー!のアンテナは固定式だが、これは静止軌道にある衛星を使っているからだ。