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 つまり、Amazon MLは利用者が機械学習についてあまり知識を持たない場合でも、サービス側が提供するサポートを受けながら機械学習を行うことができ、作成した予測モデルを既存のサービスに組み込むことも、APIを利用して簡単に実現できる。これまでの機械学習の世界に触れてこなかった開発者が、一歩踏み込みんで機械学習とはどういうものなのかを体験する上で、Amazon MLは非常に心強いサービスであると言える。

 クラウドサービスとして提供されているため、高いスケーラビリティや可用性を備えていることも大きな特徴だ。利用料金についても、問い合わせ回数に応じて請求されるため、サービス規模に応じて柔軟に変更できる。他のAWSサービスと同様に、クラウドの恩恵を十分に受けながらスケーラブルな予測APIを簡単に提供できる。

Amazon MLの利用料金
Amazon MLの利用料金
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 一方で、Amazon MLが不得意としている部分もある。

 一つは機械学習の手法のバリエーションが少ないという点である。現在Amazon MLが提供している手法は二項分類、多項分類、回帰の三つ。これらの手法は「教師あり学習」と呼ばれる分野に属しており、基本的には入力となるデータから正解の値を予測するための手法である。

 顧客がどのように分類されるかや、二つの商品を取り出して、どれだけ特徴が類似しているかなどの情報を調べたい場合には、事前に明確な正解データがないため「教師なし学習」と呼ばれる別の機械学習モデルを利用する必要がある。Amazon MLは現在、「教師なし学習」モデルには対応していない。

 また、Amazon MLが構築した機械学習モデルの内部は基本的には非公開となっており、作成したモデルの内部処理や、各項目がどの程度結果に影響しているかなどを確認することはできない。より細かく調整したい場合などには不向きなサービスとなっていると言える。

 ただし、Amazon MLはまだ発表されてからまだ半年もたっていないサービスなので、今後の機能拡充とともにこれらの点が解決される可能性もある。特に機械学習手法に関してはAmazon MLのコアとなる部分なので、これからも様々な種類の手法が新たに追加されていくと期待している。