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 NFLなど欧米の超人気スポーツのチケット代は、一人当たり数万円と高額。数万人が各地のスタジアムに毎試合押し寄せ、販売収入はもちろん、広告スポンサーも高額を支払っている。一方日本の場合、チケット代が比較的安価で、収容人数が少ない競技場が大半。潤沢な資金を前提にファンサービスを行う欧米型のビジネスモデルは、今のところこの国では成り立ちにくい。その中で、出来ることを模索するのが最善だというわけだ。

目指すは、日本ならではのスマートスタジアム

 NACK5では、日本流のスマートスタジアムを目指すために、もう一つの仕込みがある。近隣地域と手を携えたデジタルマーケティングだ。NACK5スタジアムは大宮駅から近く、サポーターの多くが徒歩で行き来する。「スタジアムまでの導線上に、商店街や住民のみなさんとサポーターとをつなぐ新しいコミュニティを作りたい」(NTT小笠原担当部長)。

写真●おそろいのウエアを着た係員が始まったばかりのサービスを熱心に売り込んでいる
写真●おそろいのウエアを着た係員が始まったばかりのサービスを熱心に売り込んでいる
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 今後さまざまな施策を打ち出していくが、まず「地域お店情報」と題したコンテンツを専用ポータルメニューに用意した。大宮駅周辺にはB級グルメであるナポリタンが美味しい店が30以上点在していることから、お店紹介とともに割引クーポンなどを配信。試合後にスタジアム近隣で飲食するよう促し、大宮アルディージャの話題で地元の方々と交流してほしいとの願いをこめた。順次、スタジアム外の地域振興に役立つコンテンツも加えていく計画だ。

 もちろんスタジアム内のコンテンツも充実させる。既に、仮想的に大宮アルディージャのユニフォームを着て選手と並んで記念撮影したり、お気に入りの選手の3D(3次元)画像を入手してスマートフォンで楽しんだり、サポーターの心をくすぐる試みのいくつかを始めた。一部観客席に限定して、場内のショップにフードを注文して届けてもらうサービスも用意した。今後は流行のVR(仮想現実)コンテンツや試合中にマスコットキャラクターの視点で見た映像の放映なども検討していく。

写真●一部の観客席では、専用タブレットを使って場内店舗のフードやドリンクをオーダーし届けてもらえる
写真●一部の観客席では、専用タブレットを使って場内店舗のフードやドリンクをオーダーし届けてもらえる
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 中長期的な課題は収益化だ。といってもあくまでサポーターから直接料金を徴収することは、今のところ考えていない。「ポータルサイト上の広告枠を販売したり、テレビ埼玉の応援番組のスポンサーに対してスタジアム内の広告とのセット売りを提案したりしていくなどのアイデアがある」(大宮アルディージャ)。

 協力したNTTグループは2020年の東京五輪・パラリンピックの国内最高位スポンサー「ゴールドパートナー」。今回の取り組みは、Jリーグの盛り上げだけでなく、メジャー・マイナー問わず様々な競技に斬新な観戦スタイルを根付かせることにも役立てたい考えだ。

 「小さな競技場が多いけど、ファンにも地元にも愛される日本的な取り組みは素敵だね」――。そんな評価を2020年に来日する外国人たちにしてもらえる日を目指して、大宮アルディージャの挑戦は続く。