PR

 この連載では、仕事で勝てる「ビジネス文章力」をテーマにしている。良いビジネス文章を書きたいなら、単に礼儀作法を知っているだけではダメである。ビジネススキルを向上させること、これが良いビジネス文章を書くための条件である。

 筆者は、「文章は忠実に人の能力を写す鏡」だと考えている。文章の不備は書いた人間の不備、文章がダメなら書いた人間の能力も不十分。文章が悪いのではない、人間が悪いということだ。

 当文章治療室では、筆者がこれまで実務現場で経験してきたケースを使い、さまざまな文章力不足を「病」にたとえ、治療というコンセプトで、スキルアップの具体的方法について紹介する。

 今回は「短時間説明力欠乏症」の治療である。仕事では上司、上長、取引先、顧客などのビジネスを一緒にする人に短い時間で説明し、理解してもらうことが必要なケースが多い。

 これは説明相手に十分に時間がない、または長い説明を嫌う管理職が多いからだ。短い時間で相手にとって大事なことを理解してもらうための説明能力を筆者は「短時間説明力」と呼んでいる。「短時間説明力」を身に着けることで仕事がうまくいくのである。

上司からの注文

 筆者が園部氏(仮名 35歳 女性)を知ったのは、当文章治療室への相談メールだった。普段からメールでも、一般の患者さんから相談を受けることにしている。そこに園部氏が相談をしてきたのである。

 園部氏の相談メールからは、辛そうな状況が伝わってきた。読んでみると「仕事上の説明が冗長、説明が長い、何を言おうとしているのかすぐに分からない」──このようなことを上司や上長から言われているとのことだった。

 しかし園部氏には、説明や報告の何が長いのか、何が上司や上長の不満となっているのかよく分からない様子だった。園田氏は「自分では極力時間を絞っている。その時間の中で、上司、上長に短い時間で説明している」とのことだった。

 自分は短い時間で説明していると思っているが、上司、上長から、「もっと簡潔に論点を絞って説明せよ」「結論と根拠だけでいいから数分で説明できるように」などと言われてしまうとのことだった。

 「自分は仕事では評価されていると思うし、上司や上長からも仕事はできると言われている。だから、説明や報告の時間の感覚に自分と上司の違い、意識の隔たりがあるのではないか」。園部氏の相談は、そういう内容だった。

 「どうにか上司の言うことを理解し、必要があれば修正したい、自分がビジネス病なら治療してほしい」のこれが園部氏の希望である。

 筆者は園部氏に「文章は人の能力を映す鏡であるので、治療には園部氏の書いた文章を見る必要がある。文章を持って治療室に来て欲しい」と相談メールに返信した。