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 この連載では、仕事に効く「ビジネス文章力」をテーマにしている。良いビジネス文章を書きたいなら、単に礼儀作法を知っているだけではダメである。ビジネススキルを向上させること、これが良いビジネス文章を書くための条件だ。

 筆者は、「文章は忠実に人の能力を写す鏡」だと考えている。文章の不備は書いた人間の不備、文章がダメなら書いた人間の能力もダメ。文章が悪いのではない、人間が悪いということだ。

 当文章治療室では、筆者がこれまで実務現場で経験してきたケースを使い、さまざまな文章力不足を「病」にたとえて、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について紹介する。

 今回は「企画力欠乏症」の治療である。仕事では時に新しいことを企画し、これまでのやり方を変える必要がある。しかし、新しいことに背を向け、現状維持を良しとしてきた人には新しい企画はてとも難しい仕事になる。

 実は、企画にはコツがあり、頭を捻らなくても自然に出てくる仕組みがあるのだ。これを理解した人とそうでない人には、5年後、10年後に大きな成長の差が出てきてしまう。今日の患者さんは、これが分かっていない人だった。

丸内氏(35歳 男性 課長補佐)の症例

 丸内氏は、大手信販会社A社に勤務しており、クレジット決済業務開発部の課長補佐として管理者の立場で仕事をしている。九州出身で、地元で小学校から大学までを過ごした後、A社に入社した。

大学時代、アメリカンフットボール部で主将として活躍した丸内氏は、入社してからも「礼儀正しい」「上下関係に厳しく、上司を立てる」という面が上司、上長に受け、順調に昇格してきた。

 あるとき丸内氏は、新ビジネスの検討に企画担当として参加することになった。内容は、インターネット販売の代金決済に使うクレジットカード、デジタルキャッシュの多様化と関連した、今後成長が期待できる新ビジネスの初期段階での検討だった。

この頃、クレジットカード業界は、業務の多様化、信販ビジネスの拡大が急務となっていた。A社も、電子マネーのビジネスチャンスに乗って電子決済に新しいモデルを導入。これをシステム化し、社会インフラの標準にしたいと目論んでいた。

 丸内氏は、この新ビジネス検討で新しいアイデアを考え、企画にする担当のリーダーに選ばれた。丸内氏は、これまでプロジェクト管理者として人の作業をマネジメントする経験はあったが、新しいことを企画をして実現させた経験はなかった。

 丸内氏は、そろそろ課長を目指す年齢に差し掛かっていた。だから企画の仕事もさせて、実績を作らせないといけない。これがA社の上司、上長たちの考えであった。だから、今回丸内氏が企画担当に選ばれたのだ。