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実験結果からわかった精神の拡張効果

 フレドリクソンはこのような質問を被験者に行った。ただし被験者には、この問題に答える前に、ポジティブ感情を抱く映像、ネガティブ感情を抱く映像、ニュートラルな映像のいずれかを視聴させた。こうすることで被験者がポジティブ感情、ネガティブ感情、ニュートラル感情のいずれかを故意に持つようにしたのである。

 実験の結果、ポジティブ感情を持っている人は、ネガティブ感情やニュートラル感情を持っている人よりも、形状A(正三角形のパネル3枚で作った正三角形)を選ぶ頻度が高いことがわかった。

 注目したいのは、最初に与えられた形状と、形状Aおよび形状Bの関係だ。最初に与えられた形状と形状Aは、構成するパーツは異なる。しかし大局的な形状はいずれも正三角形を示している。一方、形状Bは、構成するパーツは同じものの、大局的な形状は異なる。

 このことからフレドリクソンは、ポジティブ感情を持たせた人は、視野が広がり大きな構図で物事を見られる、と推論している。つまりこの実験は、ポジティブ感情が人の精神を拡張することを示しているのである。

 では、ポジティブ感情で精神が拡張すると人はどうなるか。結論を先に言うと、創造力が向上するのである。この点を科学的に証明した実験があるので紹介しよう。

 実験では画鋲の入った箱、マッチ、ロウソクを用意した。そして、ポジティブ感情、ネガティブ感情、ニュートラル感情を持つそれぞれの被験者に対して、「壁にロウソクを取り付けて、床にロウが落ちないようにしてほしい」と注文した。

 さて、皆さんならばどのようにしてロウソクを壁に取り付けて、しかも床にロウが落ちないようにするだろうか?

 正解は意外に簡単だ。まず、画鋲の箱を画鋲で壁に取り付ける。そうしたら、その箱を皿代わりにしてここにロウソクを置く。以上で実験者の注文どおりのことができた。

 答えがわかればなんとも単純な話である。しかし暗中模索の段階では、ロウソクを画鋲で取り付けるなど、いろいろな方法に思いを巡らしたに違いない。

 実験の結果では、ポジティブ感情を持つ人のほうが、ネガティブ感情やニュートラル感情を持つ人よりも正解率が高かった。つまりポジティブ感情で拡張された精神は、創造性や問題解決力の発揮につながるわけだ。

 そのためバーバラ・フレドリクソンは、「クリエイティブな解決策を早急に必要としているときには、ポジティビティに投資するのが最良の方法といえます」(『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』)と指摘している。要するにより良いアイデアを発想しようと思えば、気持ちをポジティブにせよ、ということだ。