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 行動観察などで得た大量の情報を整理する手法に「ストーリーボード法」がある。ストーリーボードは、映画のストーリーを効率的に考えるためにウォルト・ディズニーが考え出したものだ。

 これが映画だけでなくイベントの構成や雑誌の誌面プラン、さらにはプロジェクトの進捗状況チェックにも利用されるようになる。今回はデザイン思考でも大活躍するストーリーボード法の極意について解説したい。

ストーリーボード開発の契機

 映画の製作ではストーリーを練る会議が開かれる。いわゆるストーリー会議である。この会議に出席するアニメーター達は、自分の頭の中にあるイメージを口頭で表現しなければならない。しかし自分の思いがなかなか相手にうまく伝わらない。

 そのためアニメーターらは、あらかじめスケッチブックにイメージをラフスケッチしたり、その場で描いたりするわけだが、それでも映画としての一連の流れが見えてこない。ウォルト・ディズニーらのストーリー会議も同様だった。

 そこでウォルトは、単純この上ない一計を案じる。縦横が約1メートル×2.5メートルの板にフェルトを張り、そこにアニメーターのスケッチをストーリー順にピン留めした。こうすることで、会議に参加しているメンバー全員が、ストーリーの流れをビジュアルで把握できるようになった。後にこのボードは「ストーリーボード」と呼ばれるようになる。

 ウォルトらはこの手法を実践することで、ストーリーボードが単にストーリーの流れを確認するためだけのものでないことに気が付く。というのも、ストーリーの流れを追っていくと、足りないシーンや不必要なシーン、置き換えが必要なシーンが手に取るように分かるからだ。

 つまりストーリーボードは発想のための技法として利用できることが明らかになったわけだ。こうしてやがてストーリーボードを使ったアイデア発想を「ストーリーボード法」と呼ぶようになる。

 ストーリーボード法を進展させたものが、「カテゴリー別メモ取り」と呼ばれる方法だ。こちらはディズニーワールドのエントランスを飾る建物群を立案される際にも利用された発想法として著名である。

 ウォルトはスタッフに対して、エントランスを飾る建物群に必要な要素を逐次カードに書き出すよう求めた。そしてカードを回収して、それをいくつかのカテゴリーに分類したうえで並べた。こうすることで、カテゴリー別にアイデアを発想できるようになると同時に、どのカテゴリーに関する要素が不十分なのかが一目瞭然になったという。

 では、ウォルトが「カテゴリー別メモ取り」に設定したカテゴリーをストーリーのあらましだと考えてみよう。そうすればこの手法が、ストーリーボード法の応用であることが容易に理解できるだろう。

 本稿では「カテゴリー別メモ取り」も含めてストーリーボード法の一つと考える。そしてこの手法を、行動観察などから得た情報の分類と検討に利用するというのが、以下の主旨である。