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 「Silicon Valley is coming(シリコンバレーがやってくる)」――。米JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)は2015年4月に送付した「株主への手紙」のなかで、スタートアップ企業が提供する金融サービスへの危機感を露わにした。米国の大手金融機関のトップの言葉は、テクノロジー発の新しい金融サービスFinTechの影響力を物語る。

 FinTechの波は日本にも押し寄せている。金融関連サービスに参入するスタートアップ企業が次々と誕生し、大量の顧客を抱えるサービスも出てきた。今まで静観を保ってきたように見えた銀行も一斉に動き出している。共栄と対立の構図が混じり合うFinTechをキーマンはいかに見ているのか。メタップスの佐藤航陽代表取締役に聞いた。

(聞き手は原 隆=日経コンピュータ


メタップスの佐藤航陽代表取締役
メタップスの佐藤航陽代表取締役
1986年、福島県生まれ。早稲田大学法学部在籍中の2007年にメタ ップスを設立。2011年にシンガポールで人工知能を活用したアプリ 収益化支援事業を開始した。現在は東京、シンガポール、香港、台湾、サンフランシスコ、韓国、上海、ロンドンに拠点を広げ、新たなオン ライン決済サービス「SPIKE」事業も開始している。2015年8月には メタップスを東証マザーズに上場させている。(写真:陶山勉)
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 メタップスはアプリの収益化を支援するプラットフォーム事業で成長を続けてきました。2014年3月、米国を皮切りにオンライン決済プラットフォーム「SPIKE(スパーク)」を始めましたが、もともと僕はこうした金融分野のサービスがやりたかったんです。

 ただ、起業して最初から金融サービスを手がけるのは難しい。まずはグローバルな基盤を持つことが先決だと判断し、アプリ関連のプラットフォーム事業を進めてきました。ようやく金融を始められたという状況です。

 なぜ私が金融サービスを手がけたかったのか。それは、様々な国を見て、資産の強さを強く感じたからです。

 資産を持つ人はどんどん資産が増え、持たざる人は永遠に持たない。もう少しうまいやり方があるのではないか。そう昔から考えていました。フラットな仕組みを構築できるはずだと。技術やインターネットは格差を解決する力を持っています。変わるきっかけを自分で作ることができればと思っていました。

 月間決済額100万円までのフリープランなら「初期費用」「月額費用」「決済手数料」のすべてが無料のSPIKEを始めたとき、相当の驚きをもって受け入れられました。もともとお金の移動や価値の移動は、手数料の存在によって阻まれていた。経済をバーチャル化する上での問題点になっていたんです。

 現金の手渡しと同じように、ネットでお金のやり取りをしても手数料がかからないようになれば、もう少し現実の世界がバーチャルな世界に吸い込まれていくのではないか。そう思ったんですね。

 既に導入件数は10万件を超えています。

 ただ、今までにないモデルのため、銀行やクレジットカード会社との交渉は難しかった。無料にして大丈夫なのかという懸念や、既存のビジネスモデルを壊してしまうのではないかという危惧があったためです。労力も時間も相当かけなければなりませんでした。でも、それはルールチェンジャーとしての義務だと思っています。私たちの仕事は新しい仕組みを創り出すことですから。