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 IT人材育成の視点で2016年を展望すると、企画・開発・運用スキルの「再定義」と「再教育」がキーワードになりそうだ。あえて「再」を付けたのは、「できないことをできるようにする」従来型の底上げ教育・研修ではなく、従業員が既に備えているスキルセットについて改めて教育することを意味するからだ。例えば、経歴10年前後のSEに対して、工数の見積もり方やプロジェクト計画の立て方などを、改めて教育・研修するような取り組みである。

 筆者はIT人材育成事業「日経ITエンジニアスクール」などを担当している関係で、ITベンダーやシステム子会社などからIT人材育成策について相談を受けることが多い。この半年の相談内容で多いのが、「ITエンジニアのスキルレベルを再点検したい。属人的になっている手法を改めて全社で標準化したい」というものだ。システム企画・設計などの上流工程から、コーディングなどの実装工程、障害の原因分析と対策といった運用工程まで、対象となるスキルの範囲は広い。

 なぜ、そうなのか。各社が抱える課題を突き詰めていくと、ITエンジニアそれぞれが経験則や独学で高めてきた「我流」のスキルが、全社的に見ると生産性向上や品質向上の弊害になっているという事情が見えてくる。担当者ごとに工数管理や開発手法に対して認識が微妙に異なり、それが後工程での手戻りやステークホルダー間の再調整が必要になる原因になっているというのだ。「開発標準」などを整備している大手ITベンダーやシステム子会社でも、同じような課題を抱えているのが実態だ。

 もちろん「我流」がすべて悪いわけではない。生産性を高めるノウハウが詰まっていることも少なくないだろう。だが、案件が増加し大規模化してくると、よかれと思っていた「我流」が、他人や他のチームにとって弊害となることもある。