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 ある落語家が寄席で初めての演目を披露しました。その演目は観客に大変受けて、落語家はうれしく思うとともに、「この演目は観客に受ける」と自信を持ちました。しかし、別の寄席で同じ演目を披露したところ、今度は全く受けませんでした。落語家は、初めて披露した寄席で観客に受けた演目が、別の寄席で受けなかった原因をつかみたくて、自分自身の行動を思い出してみました。

 そして、次のようなことに気がつきました。最初の寄席では、初めて披露する演目なので、観客の反応を注意深く見ながら話を進めていました。しかし、次に披露した別の寄席では、「この演目は観客に受ける」前提で進めたため、観客の反応を注意深く見ることを忘れ、自分のペースで進めていたのです……。

自信の有無と観察力は逆の関係

――これは、何気なくつけていた車のラジオで聞いた話です。ビジネスでも同じことが言えると思ったので、印象に残りました。

 人は、自信がなく不安な時は相手を注意深く観察し、聞き手である相手のペースやタイミングで話を進めますが、自信がある時は相手の反応を観察するよりも自分のペースで話を進めてしまいがちです。

 ビジネスにおいて新しい商品・商材を販売する場合、新規サービスを提供する場合はどうでしょうか?最初は自信が無い(確信が持てない)ため、相手(市場・お客様)の反応を観察しながら商品・商材、サービスを作り販売します。

 しかし、ある程度実績が得られてくると、相手(市場・お客様)の観察や反応より、目先の実績につながる数字情報や自社の効率化・生産性を重視してしまい、市場からの乖離が始まるのではないでしょうか。経験を積んで実績を得て自信を持つことは悪いことではありません。しかし、市場・お客様の反応(情報)をなおざりにするような自信は危険なのです。